GaNの話シリコンを粉砕するために捧げたブログ
データの増加、アプリケーションの増加、モバイルの増加・・・

データの増加、アプリケーションの増加、モバイルの増加・・・

10 18, 2017

あなたのことは知りませんが、私の家では、モバイル機器の使い道が増えると共に、機器の数も一晩で増えているように思えます。ある晩、あなたは、私のノート・パソコン上のウエブ会議ツールGoToMeetingの会議で、私を見つけるかもしれません。夫は、米国フロリダの父と、電話でインターネット電話Skypeのビデオ・チャットをしています。私の長男は、彼のノート・パソコンで教育サポート・アプリGoogle Classroomの課題を提出しています。次男はタブレット端末でストリーミング・ビデオを見ています。そして2年生は、彼のファブレット端末に動画作成配信アプリmusic.lyで録音して投稿しています。私たちが旅行するとき、これらの機器を持って行くので、持ち歩きやすいように十分に小型で軽くなければなりません!

これは、コンピュータ・システムや通信システムの電力需要の永遠の増加につながり、形状の小型軽量化、バッテリー寿命の延長といった要望と矛盾します。これらの要求を満たすために、POL(負荷点)のDC-DCコンバータ(パワー・エンジン)は、小型で、かつ可能な限り高効率に設計しなければなりません。これらの要求に応えるためには、これらの機器を動作させるための電力変換に使われるトランジスタのスイッチング周波数を永遠に高速化にすることになります。ノート・パソコン、タブレット端末、ファブレット端末は、これらのデバイスへの依存度が高まり、それらを進化させ続けるという要求があるので、このニーズに特に敏感です。

これらのシステムの電力変換回路は、スペースのほぼ半分を占め、文字通りマザーボードの最大の高さを規定しています。受動部品がパワー・エレクトロニクス部分のサイズを支配しているため、小型化を実現する最も簡単な方法は、スイッチング周波数を高くして、出力のコンデンサとコイルのサイズを小さくすることです。高い周波数において高効率に動作する窒化ガリウム(GaN)・ベースのパワー・デバイスの能力は、次世代モバイル・コンピューティングのサイズの大幅な削減を牽引します。

Tablet, notebook PC, phablet
図1:タブレット端末、ノート・パソコン、ファブレット端末

変換器の効率を犠牲にすることなく高速化・・・集積化によって

周波数を上げることは、サイズを縮小する確実な方法です。モバイル・システムで同様に重要なことは、バッテリー寿命を長くする鍵である高効率なソリューションを実現することです。eGaN FETのワン・チップ化によって、コンバータの効率を大幅に向上できます。

周波数と効率を高めるための道筋の鍵となる速度の壁は、寄生インダクタンスです。寄生インダクタンスは、不要な電圧ストレスを誘発するだけでなく、スイッチング速度を低下させることも実証されています [1]。2個のeGaNパワー・トランジスタ(FET)をワン・チップに集積化することによって、プリント回路基板に必要なデバイスの間隔と相互接続インダクタンスとが大幅に削減されるか、または排除されることもあります。

集積化の第2の利点は、制御用FETと同期整流器の両方のチップ・サイズを最適化できることです。集積化によって、スイッチングに関連する損失を低減するために制御用FET(Q1)のサイズを小さでき、導通損失を低減するために同期整流器(Q2)を大型にできます。EPC2111(図2)は、制御用FET(Q1)のサイズが同期整流器(Q2)の約1/4の高降圧比POL(負荷点)コンバータ向けに設計されたモノリシックのeGaNハーフブリッジICです。

集積化の第3の利点は、熱特性が改善されることです。集積化してモノリシックにすることによって、より小さな制御デバイス(Q1)から、より大きな同期整流デバイス(Q2)への高効率の熱の伝達が可能になり、システム内で、よりバランスの取れた熱分布が得られ、デバイスからプリント回路基板に熱を放出する経路がより効率的になります [1]。

EPC2111, 30 V eGaN half bridge
図2:EPC2111、30 VのeGaNハーフブリッジ

モノリシックへの集積化によって、POLコンバータにおいて、高効率でスイッチング周波数をより高くする道を拓きます。実装面積が小さいため、電力密度がさらに向上し、要求が厳しいアプリケーションに対応できます。

高速ゲート・ドライバがGaNの能力を引き出す

GaNの高周波スイッチング能力を引き出す新しいゲート・ドライバが市場に登場しています。そのようなデバイスの1つである米Peregrine SemiconductorのPE29102は、最高33 MHzのハード・スイッチングのアプリケーションに対して、サブナノ秒程度のスイッチング遷移速度が得られる出力能力を備えた集積化した高速ドライバです。PE29102は、システム帯域幅を改善するために、整合されたデッドタイムと伝播遅延時間の両方が最適化されています。フリップチップの小型パッケージで提供されるので、システム設計の寄生インダクタンスがさらに低減され、最終的に基板スペースを削減できます。

PE29102, High-speed GaN FET driver
図3:PE29102、高速GaN FETドライバ

10 MHzのPOL(負荷点)コンバータ

今日のPOLシステムは、通常、1 MHz以下で動作します0 VのeGaNハーフブリッジEPC2111とPeregrineのPE29102を組み合わせることによって、12 Vから1.8 Vに変換する完全なPOLシステムは、5 MHzでスイッチングしたときに、10 Aで86%の効率レベルが達成でき、10 MHzでスイッチングすると80%以上が得られます(図4)。パワー・トランジスタのスイッチング周波数を現在の設計の標準1 MHzから10 MHzに高めると、基板面積が56%削減され、高さが65%低くなると見積もられます。

Typical efficiency for VIN = 12 V to 1.8 VOUT POL converter
図4:12 V入力、1.8 V出力のPOLコンバータの標準的な効率

データの増加、アプリケーションの増加、モバイルの増加

私たちは、モバイル機器が、ますます小型化、軽量化され、ますます増え続ける電力需要が大きいタスクを実行したいと思っています。これらの要求に対応するためには、中核となるパワー・エレクトロニクス部分の小型化と低消費電力化が不可欠です。パワー・トランジスタのスイッチング周波数を高くすることは、小型化へのよく知られた道です。今日入手可能なGaNベースのパワー・デバイスは、コンバータ周波数の高速化への壁を取り除き、次世代のモバイル・コンピューティングを牽引します。私はすでに、家族がSnapChatやストリーミング・ビデオMinecraftを楽しんでいる時間を想像することができます・・・。