GaNの話シリコンを粉砕するために捧げたブログ
ePower™ Stage:電力変換を再定義する

ePower™ Stage:電力変換を再定義する

3 16, 2020

GaN技術は、性能とコストの改善だけでなく、電力変換市場に影響を与える最も重要な機会は、同じ基板上に複数のデバイスを集積する本質的な能力にあります。標準的なシリコンIC技術とは対照的に、GaN技術を使うと、モノリシックのパワー・システムを、より簡単でコスト効率の高い方法でワン・チップに集積できます。

今日、電力変換に使われる最も一般的なビルディング・ブロックはハーフブリッジです。 EPCは2014年に、集積されたハーフブリッジ・デバイスのファミリーを製品化し、これは電力システム・オン・チップに向けた旅の出発点になります。この傾向は、ハーフブリッジと同期ブートストラップを集積したEPC2107EPC2108の製品化に進展しました。2018年には、効率の向上、サイズの縮小、およびコストの削減のために、ゲート・ドライバと高周波GaN FETをワン・チップに収めたeGaN ICを製品化し、集積化への道をさらに進めました。現在、ePower™ Stage ICファミリーは、シリコンで実現できる範囲を超えるレベルの高電圧と高周波で、単一のGaNオン・シリコン集積回路にすべての機能を集積することによって、電力変換を再定義します。

EPC2152:80 V、12.5 AのePower™ Stage

EPC Power StageEPC2152では、当社独自のGaN IC技術を使って、ドライバとeGaN® FETハーフブリッジ・パワー段をワン・チップにしました。入力論理インタフェース、レベルシフト、ブートストラップ充電、ゲート・ドライバのバッファ回路、およびハーフブリッジとして構成された出力eGaN FETが、モノリシック・チップ内に集積されています。これによって、80 V、12.5 Aの窒化ガリウム・ベースのパワー段集積回路が、わずか3.9 mm×2.6 mm×0.8 mmのチップスケールLGA形式のデバイスとして実現できました。動作条件に応じて、このデバイスは、PWM(パルス幅変調)周波数が最高3 MHzで動作します。これは、MOSFETのディスクリートやICのソリューションで実現できるものよりも大幅に高い周波数です。

出力デバイスは、ハイサイドFETとローサイドFETの両方で、オン抵抗RDS(on)が10 mΩ以下のハーフブリッジとして構成されています。内蔵ゲート駆動回路は、出力FETに整合するように設計されており、定格電流でのスイッチング時間は0 V〜60 Vで1 ns以下です。

20 ns以下の遅延時間で高周波動作が可能であり、ハイサイドとローサイドの遅延時間を合わせているので、容易に10 ns以下の小さなデッドタイムにすることができます。

入力は、3.3 Vの論理と互換性があるので、MCU(マイクロコントローラ・ユニット)またはアナログ・コントローラと直接インタフェースできます。

EPC2152は、LGAの外形でウエハー・レベルのチップスケール・パッケージ(WLCSP)を採用しています。はんだバンプのレイアウトは、実際のプリント回路基板のアプリケーションでパワー・ループ・インダクタンスを最小化するために、電流の流れる方向を考慮して設計されています。当社の開発基板EPC90120のパワー・ループ・インダクタンスは0.2 nH以下です。

設計の容易さ

EPC2152は、少なくとも3個のディスクリート・チップを置き換えられます。すなわち、ゲート・ドライバと2個のFETです。これによって、設計と製造が容易になります。このデバイスは、ディスクリート部品の実装と比べて、プリント回路基板上のスペースを少なくとも33%節約できます。この製品ファミリーによって、GaN技術によって実現された大幅な性能の向上を簡単に利用できます。ワン・チップに集積されたデバイスは、設計、レイアウト、組み立てが容易になり、プリント回路基板上のスペースを節約し、効率を向上させます。

48 VのDC-DC

EPC2152 DC-DC converters EPC2152は、高効率と小型を必要とするDC-DCコンバータでの使用を狙っています。これらは、通信、サーバー、クライアント・コンピューティング、産業、自動車、軍の市場にとって重要な利点です。このデバイスは、LLCコンバータだけでなく、バック(降圧型)・コンバータやブースト・コンバータ向けの設計に使えます。ユーザーの中には、スイッチド・キャパシタ構成でさえ、このデバイスを試しています。

EEPCは、EPC2152を使って、VIN=48 V、VOUT=12 V、fSW=1 MHz、IOUT=12.5 Aのバック・コンバータを構築してテストしました。このバック・コンバータで動作させると、ピーク効率は96%以上が得られ、ディスクリートGaN FETよりも優れており、ディスクリートMOSFETやMOSFET ICベースのパワー段よりも大幅に優れています。

モーター駆動

EPC Motor Drive eScooter ePower Stageのもう1つの有望なアプリケーションは、ロボット、ドローン、電動キックボード向けのモーター駆動モーター駆動用インバータです。これらのモーター駆動用途には、軽量、高い帯域幅、低いトルク・リップルが必要になります。これは、EPC21521を使って構築したインバータの利点です。

EPCは、電動キックボードのモーターに電力を供給するために、EPC21521を使ってプロトタイプを構築しました。ePower Stageのデバイスは、3相正弦波励磁、1相当たり10 ARMS、ピーク・モーター駆動電流15 Aの用途で採用されており、イー・モビリティ用BLDCモーターに対する高効率、静か、高性能、低コストのソリューションです。

次は何

EPC2152は、チップスケール・パッケージだけでなく、複数チップを1つのパッケージに収めたモジュールで利用可能な統合型パワー段の幅広いファミリーになる最初の製品です。 このファミリーは1年以内に、最大3〜5 MHzの範囲の高い周波数で動作でき、パワー段当たり15 A〜30 Aの大電流で動作するデバイスがたくさん製品化されます。

この究極の目標は、単にマイクロコントローラからの単純なデジタル入力があれば、あらゆる条件下で、可能な限り小さなスペースで経済的に、負荷を高効率かつ確実に駆動する電力出力を生成する単一部品のICを実現することです。