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新しい耐圧200 VのeGaNデバイスは、成熟したシリコン・パワーMOSFETに比べて性能が2倍です

新しい耐圧200 VのeGaNデバイスは、成熟したシリコン・パワーMOSFETに比べて性能が2倍です

8 21, 2020

Efficient Power Conversion(EPC)は、定格200 Vの成熟したシリコン・パワーMOSFETとeGaN®トランジスタの間の性能の差を2倍にしています。新しい第5世代デバイスのサイズは、前世代の約半分です。この性能向上は、図1に示すように、2つの主な設計上の違いによります。左側は、第4世代の200 Vのエンハンスメント・モードGaNオン・シリコンの構造の断面図です。右側の断面図は、第5世代の構造で、ゲート電極とソース電極との間の距離を短くし、厚い金属層が追加されています。これらの改善に加えて、示されていない他の多くの改善によって、新世代FETの性能は2倍になりました。

図1:第4世代GaN FETの断面図(左)と第5世代デバイス(右)の比較。第5世代の製品では、ゲートとドレインの間隔が狭くなっていることに加えて、4番目の金属層が追加されていることに注意してください。

最初の2つの製品、EPC2207EPC2215を図2に示し、前世代のeGaN FETと比較します。例えば、EPC2207の面積は、5.8 mm2EPC2010Cと比べて、2.6 mm2と小型ですが、EPC2207のオン抵抗RDS(on)は低く、ゲート電荷QG、QGDも小さく、QOSSは、はるかに小さくなっています。

図2:前世代の第4世代と比べたときの第5世代の製品。電力密度は約2倍です。

図3では、SiパワーMOSFETよりも優れた性能上の利点を示すために、第4世代と第5世代の両方のeGaN FETを、ベンチマークのシリコン・デバイスである独インフィニオン テクノロジーズのIPT111N20NFDと比較しています。EPC2215はRDS(on)が33%低くなっていますが、サイズは1/15です。この新しい技術によって、ゲート電荷(QG)は1/6と小さくなり、すべてのeGaN FETと同様に、逆回復電荷(QRR)がないため、低歪みのD級オーディオ・アンプ、および、より高効率な同期整流器やモーター駆動が可能になります。

図3:ベンチマークのSiパワーMOSFETと、第4世代および第5世代のeGaN FETの比較。第5世代は、第4世代ですでにかなり大きかった性能の差を2倍に拡大します。

図4の性能のグラフに示されている新世代の200 VのeGaN FETの利点に関する確認の追加です。この図は、インフィニオンの200 VのMOSFETベンチマーク・デバイス、旧世代のEPC2034C、および第5世代のEPC2215との比較を示しています。EPC2215は、サイズが60%であるにもかかわらず、以前のEPC2034Cよりも優れた性能を発揮します。Si MOSFETは明らかに性能が劣ります。

図4:150 V入力、12 V出力のDC-DCバック(降圧型)・コンバータにおけるインフィニオンのIPT111N20NFD、第4世代 eGaN FETのEPC2034C、および第5世代eGaN FET のEPC2215の効率の比較。

これらの新世代eGaN FETと同じくらい小さいデバイスに対して、よくある質問は、動作中の熱をどれだけうまく放散できるかです。チップスケール・パッケージのおかげで、熱効率はパッケージ内の同等のシリコン・デバイスよりもはるかに高くなっています。例えば、図5は面積4 mm2のeGaN FETで、デバイス内が6 Wの電力で熱抵抗4℃ / Wを示しています。はっきりさせるために、シミュレーション画像を示していますが、デバイスの実際の機能は実験的に確認されています。

図5:面積4 mm2のeGaN FETのシミュレーションした熱画像。4℃ / Wの熱抵抗を示しています。この性能は実験的に検証されました。

これらの新しい200 VのeGaN FETの明らかに優れた優位性によって、高額な価格で販売されると思われるかもしれません。しかし、EPCはこれらの最先端のトランジスタを、成熟した前任者であるシリコン・パワーMOSFETに匹敵する価格にしています。

これらの最先端のデバイスのアプリケーションには、D級オーディオ、同期整流、太陽光発電用MPPT(最大電力点追跡器)、DC-DCコンバータ ハードスイッチと共振)、およびマルチレベル高電圧コンバータなどがあります。

図6は、6個のEPC2215デバイスのみを使った2.5 kW、4レベルのトーテムポールPFCです。定格200 VのeGaN FETを積み重ねることによって、このPFCの入力電圧は、最大400 Vになり、図7に示すように効率99.25%が得られます。

図6:2.5 kW 、4レベルのトーテムポール力率改善(PFC)回路の回路図と写真。このシステムは、6個のEPC2215デバイスを使って、400 Vと高い入力電圧を可能にしています。
図7:図6のシステムの効率対負荷電力。ピーク効率は99.25%に達し、全負荷時の効率は99%を超えます。

EPCの第5世代eGaN FETは、より小さく、より熱効率の高いサイズ、同等のコストで、より高い性能を実現します。これらの新世代の200 VのeGaN FETは、図4のバック・コンバータと図6のトーテムポールPFCに加えて、49 V出力の同期整流やD級オーディオの用途に最適です。成熟したパワーMOSFETの必然的な陳腐化は、日々、ますます明らかになってきています。