新しい100 VのeGaNデバイスは、成熟したシリコン・パワーMOSFETよりも、ベンチマーク性能が向上します
GaNの話 – Alex Lidow, Ph.D.
9 22, 2020
Efficient Power Conversion(EPC)は、定格100 Vの成熟したシリコン・パワーMOSFETとeGaNトランジスタの間の性能の差を広げています。新しい第5世代「プラス」デバイスは、以前の第5世代製品と比べて、オン抵抗RDS(on)が約20%小さく、直流定格が高くなっています。この性能向上は、厚い金属層の追加と、はんだボールから、はんだバーへの変更によるものです。
最初の2つの製品であるEPC2204とEPC2218を図2に示し、前世代のeGaN FETと比較しています。例えば、EPC2204はEPC2045と同じチップ・サイズですが、連続電流能力IDC_CONTが80%高く、オン抵抗RDS(on)が20%小さく、接合部から基板への熱抵抗RΘJBが70%小さくなっています。
図3は、SiパワーMOSFETよりも大幅に優れた性能上の利点を示すために、第5世代と、第5世代「プラス」のeGaN FETを、シリコン・デバイスのベンチマークである独インフィニオン テクノロジーズのBSZ070N08LS5と比較しています。EPC2204は、RDS(on)が25%小さくなっていますが、サイズは1/3です。この新しい技術では、ゲート電荷QGが半分以下であり、すべてのeGaN FETと同様に、逆回復電荷QRRがないため、低歪みのD級オーディオ・アンプだけでなく、より高効率な同期整流器とモーター駆動も実現できます。
新世代の100 VのeGaN FETの利点は、図4に示した特性のグラフで、さらに確認できます。12 Vまたは24 Vから3.3 Vに変換する2 MHz動作のバック(降圧型)・コンバータを示します。赤色の線は、EPC2204およびEPC2218の青色の線と比較したベンチマークのインフィニオンの60 VのMOSFETの効率と電力損失です。
これらの新世代eGaN FETと同じくらい小さいデバイスにおいて、一般的な質問は、動作中に、どれだけうまく放熱できるかということです。チップスケール・パッケージのおかげで、熱効率は、パッケージ封止の同等のシリコン・デバイスよりもはるかに高くなっています。例として、図5は、EPC2204と同様の面積4 mm2のeGaN FETであり、デバイス内の電力6 Wで、熱抵抗は4℃/Wです。分かりやすくするためにシミュレーション画像を示していますが、デバイスの実際の能力は実験的に確認されています。
これらの新しい100 VのeGaN FETの明らかな優位性によって、価格が高くなると思うかもしれません。しかし、EPCは、これらの最先端の100 Vのトランジスタの価格を、成熟した前任者であるシリコン・パワーMOSFETに匹敵する価格に設定しています。
設計技術者が製品をより早く市場に出すことを支援するために、EPCは、これらのチップスケール製品を利用するときの多数の設計ツール、開発キット、リファレンス・デザインを用意しています。
図6に、部品、対応する開発キット、および、利用可能なリファレンス・デザインを示します。すべてのEPC製品に対して、PSPICE、TSPICE、LTSPICE、Spectre、Altium、熱デバイス・モデルが、ここにあります。
EPC2218を使ったリファレンス・デザインの例は、図7の超薄型バック・コンバータEPC9153です。このバック・コンバータは、入力電圧が40〜60 Vのモニターやノート・パソコンなどの非常に薄い製品に適合するように設計されています。厚さは、わずか6.5 mmで、効率は98%を超え(図8を参照)、ヒートシンクやエアフローを追加しなくても、温度上昇はわずか35℃です。
同じ設計を12 Vの安定化出力用に構成できます。出力電圧12 Vの効率対負荷電力が図9です。全負荷効率は、定常状態で56 V入力で97.4%、48 V入力で97.6%が得られます。
EPCの最新世代の100 VのeGaN FETは、より小さく、より熱効率の高いサイズで、成熟したシリコンMOSFETと同等のコストで、より高い性能を実現できます。前世代のeGaN FETと比べて、これらの新製品は、オン抵抗が小さく、熱抵抗が小さく、定格直流電流能力が高く、同等の定格のパワーMOSFETに匹敵する価格です。成熟したパワーMOSFETの必然的な陳腐化は、日々、ますます明らかになっています。