GaNの話シリコンを粉砕するために捧げたブログ
eGaN FETとICを使ったモーター駆動設計での可聴雑音の低減

eGaN FETとICを使ったモーター駆動設計での可聴雑音の低減

1 15, 2021

ブラシレスDC(BLDC)モーターは人気があり、ロボット、イーモビリティ、ドローンの用途で広がっていることが分かります。このような用途には、軽量、小型、低トルク・リップル、低可聴雑音、非常に精密な制御などの特別な要求があります。これらのニーズに対応するために、モーターに電力を供給するインバータは、より高い周波数で動作する必要がありますが、結果として生じる大きな電力損失を減らすための高度な技術が必要です。エンハンスメント・モード窒化ガリウム(eGaN ®)のトランジスタと集積回路は、大きな損失を生じることなく、はるかに高い周波数で動作する能力があります。

一部のモーター用途、例えば、ドローンでは、静かな動作が重要な要件です。ドローンのモーターとプロペラが発生する雑音は、ビデオ撮影に使われているときに、特に厄介になる可能性があります。この雑音は、ユーザーが捕捉しようとしている音をかき消す可能性があるためです。さらに多数のドローンを使ってインテリジェンス、監視、および偵察を実行する可能性のある軍事アプリケーションを考えてください。複数のドローンが一緒に飛行しているこの状況では、可能な限り静かな動作が望まれます。

これらの用途向けに必要な静かなモーター動作を実現するには、GaNの高周波スイッチング能力が不可欠です。eGaNデバイスを使うと、モーター駆動用インバータの設計は、通常10〜20 kHz付近で動作するシリコンの設計と比べて、100 kHz強の範囲で、より高い周波数にできます。この高い周波数では、デッドタイムを大幅に短縮することが可能であり、その結果、モーターの可聴雑音が大幅に削減できます。

以下のビデオに示されている設計は、無負荷の150 WのNEMAモーターを動作させるために40 kHzで切り替えながら、48 Vの直流電源電圧で動作する3相インバータです。20 kHzから1 MHzのスイッチング周波数で動作し、ヒートシンクが取り付けられている場合、モーターの各相に15 Aのピーク電流を供給できます。この基板のサイズは、わずか45 mm✕55 mmです。

示されているインバータの設計では、2個の70 V、10 mΩのメインFETと、FETの駆動用に最適化されたハーフブリッジ・ゲート・ドライバを集積したモノリシックePower™ Stage のEPC2152を使っています。このビデオでは、設計のデッドタイムを1 µsに設定した場合と50 nsに設定した場合のモーターの聴覚上の違いがはっきりと聞こえます。デッドタイム50 ns以下の設定は、GaNでのみ達成可能であり、非常に静かな動作を実現できます。