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開発基板からバック・コンバータへ

開発基板からバック・コンバータへ

8 17, 2021

EPCの開発基板は、一般的なアプリケーションにおいて、eGaN® FETとICを評価する機会を提供します。例えば、ハーフブリッジ開発基板のEPC9094は、バック(降圧型)・コンバータまたはブースト(昇圧型)・コンバータとして構成できます。EPC9094は、新しく製品化された面積1.3×1.3 mm、2×2ピンのWLCSP(ウエハー・レベルのチップスケール・パッケージ)に収めた耐圧200 V、最大オン抵抗43 mΩのeGaN FETであるEPC2054を搭載しています。この非常に小さいFETの非常に低いオン抵抗RDS(on) 値によって、高電圧電源からの大電流負荷をサポートできます。この能力を実証するために、開発基板のEPC9094をバック・コンバータに変更します。140 V電源を使ったSpiceシミュレーションでは、2.5 A、28 V出力で90%の高効率が得られることを示しています。米ビシェイ・インターテクノロジーの33 µH、4.4 A、最大95 mΩ、10.2×10.8×4 mmのコイルIHLP-4040DZET330M11を選択すると、500 kHzでリップルは40%になるでしょう。出力コンデンサは、4個の10 µFのセラミック・コンデンサY5V 50V 1210で構成しました。このシミュレーションでは、スイッチング周波数を500 kHzと375 kHzの間で変えた場合、リップル電流と全体的な効率のトレードオフが示されました。このシミュレーションは、デッドタイムを調整して、ハイ・レベルからロー・レベルへの完全なZVS(ゼロ電圧スイッチング)遷移を可能にすることで、バック・コンバータの軽負荷時の効率が最大化されることを示しました。

図1:開発基板のEPC9094

図1の開発基板EPC9094を見ると、複数の構成オプションと接続があります。電源入力は右側にあり、電源出力は下部にあります。この基板には、入力電圧のバルク・コンデンサが搭載されています。選択した大きなコイルと出力コンデンサをはんだ付けするスペースがあります。高精度の効率測定を可能にするために、入力と出力の両方に電圧検出ポイントが用意されています。追加のピン・ベースの接続は、ゲート・ドライバのバイアス電力とPWM(パルス幅変調)信号入力用に提供されています。最後に、3つの各設定を提供する2つのジャンパがあります。青いジャンパは、シングルPWM入力、またはデュアル、または独立したハイ・サイドFETとロー・サイドFETのPWM入力からの降圧または昇圧向けの基板を構成します。赤いジャンパは、デッドタイムのオプションを構成します。1)バイパスなしでは、開発基板の組み込みデッドタイム発生器が機能し、ハイ・サイドFETとロー・サイドFETの非対称デッドタイムをカスタマイズできます。2)DTバイパスは、開発基板のデッドタイム回路が非アクティブ化されていることを意味します。3)フルバイパスは、信号処理の遅延なしに、両方のPWM入力をゲート・ドライバ入力に直接、別ルートで送ります。後者のモードでは特別に、この開発基板で、このデモで使うものに、デッドタイム発生器に組み込まれた米オン・セミコンダクターの高電圧ハーフブリッジ・ゲート・ドライバNCP51810 / 20を利用できます。最後に、正しい高さの3つのネジ取り付けスタッドがあり、熱伝導材料TIMを使ったヒートシンクをFET(EPC2054)の上面にオプションで取り付けることができます。これによって、FETの電力処理範囲が大幅に拡大されます。

EPCの開発基板には、従来の電源端子は付いていません。ただし、図2に示すように、端子にバナナ・ジャックを簡単にはんだ付けできます。12 VバイアスとPWMピン入力には、フック・クリップを使えます。パルス発生器を簡単に接続できるように、BNCからフック・クリップ・アダプタを利用できます。

図2:EPC9094の接続

図3は、28 V出力で2.5 Aの全負荷で動作するバック・コンバータのスイッチング波形です。オン・セミコンダクターのドライバのデッドタイムは、40 nsに設定され、ハイからローまで完全なZVSを可能にしました。この開発基板の設計は、動作温度91℃のとき、全電力でピーク効率93.3%が得られています。図5の熱画像に示すように、スイッチング周波数を375 kHzに下げると、効率が94%に向上し、ピーク動作温度が86.9℃に低下しました。ハイ・サイドFETのみが高温になります。375 kHzと500 kHzの両方の効率値の完全な表とプロットを図4に示します。

波形 140 VIN、28 VOUT、2.5 A

図4:375 kHzと500 kHzでの効率と損失のグラフと表
図5:ハイ・サイドFETの熱画像

このブログでは、EPCの開発基板を簡単に利用して、設定の労力をほとんどかけずに、一般的なアプリケーションで所望のGaN FETまたはICの特性を評価できることを示しました。このブログでは、さまざまなスイッチング周波数での200 VのeGaN FET(EPC2054)の特性を評価するために、標準の開発基板EPC9094を2.5 Aで140 VIN から28 VOUT で動作するバック・コンバータの構成にしました。ハイからローへの完全ZVSを可能にする40 nsの設定デッドタイムによって、コンバータは375 kHzでスイッチングしながら、全電力で94%の効率が得られました。

利用可能な開発基板の完全なリストについては、開発基板のセレクタ・ガイドを参照してください。

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