GaNの話シリコンを粉砕するために捧げたブログ
eGaN FETと、ルネサス エレクトロニクスのコントローラISL81807を使った12V入力、48 V / 500 W出力の2相ブースト・コンバータの設計、シリコンと同じBOM(部品表)点数で、いかに優れた効率と電力密度を実現するか

eGaN FETと、ルネサス エレクトロニクスのコントローラISL81807を使った12V入力、48 V / 500 W出力の2相ブースト・コンバータの設計、シリコンと同じBOM(部品表)点数で、いかに優れた効率と電力密度を実現するか

1 07, 2022

48 Vは、AI(人工知能)システム、データセンター、マイルドハイブリッド電気自動車など、多くのアプリケーションで採用されています。ただし、従来の12 Vのエコシステムが依然として支配的であるため、12 Vから48 Vへの高電力密度のブースト(昇圧型)・コンバータが必要です。eGaN® FETの高速スイッチングと低オン抵抗RDS(on) は、この課題に対処することに役立ちます。このブログでは、ルネサス エレクトロニクスのeGaN FET互換コントローラIC のISL81807によって直接駆動されるeGaN FETを使った12 V入力、48 V、500 W出力のDC-DCパワー・モジュールの設計をシンプルで低コストの同期ブースト構成の中で評価します。.

2相eGaN FETベースの同期ブースト・コンバータの設計

図1に示すマルチフェーズ同期ブースト構成は、その単純さ、制御の容易さ、低コストのために、DC-DC昇圧型コンバータの設計で一般的です。

図1:eGaN FET(EPC9166)ベースの同期ブースト・コンバータの概略回路ブロック図

この設計では、RDS(on)が3 mΩで定格100 VのEPC2218を、12 V入力、48 V、500 W出力のパワー段に選択しました。ISL81807は、eGaN FETを直接駆動できる80 Vのブースト・コントローラです。このアナログ・コントローラのソリューションは、デジタル・コントローラのソリューションと比べて、ドライバIC、電流検出IC、ハウスキーピング用パワーICの必要がないため、複雑さが軽減され、部品表(BOM)の部品点数を大幅に削減できます。このコントローラは、UVLO(低電圧ロックアウト)や過電流保護などの完全な保護機能を備えた電流モード制御を採用しています。ISL81807を使うと、設計者は電流連続モード(CCM)またはダイオード・エミュレーションのいずれかを選んで、軽負荷効率を向上させることもできます。このコンバータのスイッチング周波数は500 kHzに設定し、DCR(直流抵抗)が1.3 mΩ、飽和電流が7 Aの2 μHのコイル(米コイルクラフトのSER2011-202)を選択しています。

設計の検証

同期ブースト・コンバータEPC9166を図2に示します。出力電流5 Aでのスイッチ・ノード電圧vSW波形が図3です;スイッチングは、高速で、波形はきれいであるように見えます。同期ブースト・コンバータの全体的な電力効率と電力損失を図4に示します。ピーク効率は、12 V入力、48 V出力で96.6%です。

図2:12 V〜60 V、500 W動作向けに設計された同期ブースト・コンバータEPC9166の写真

図3:出力電流5 Aでのスイッチ・ノード電圧vSWの波形
図4:12 Vの入力電圧と、さまざまな出力電圧で動作するEPC9166のシステム全体の効率と損失

熱特性

図5に、12 V入力、48 V、10 A出力で、適度な冷却(約400 LFMの強制空冷)で動作するコンバータの熱画像を示します。72℃の温度上昇が観測できます。この基板は、ヒートシンクなしで480 Wの電力を供給できます。

結論

コントローラISL81807を中心に設計されたeGaN FETベースの2相同期ブースト・コンバータであるEPC9166を紹介しました。12 V入力、48 V出力で、500 Wを供給でき、適度な冷却でピーク効率96.6%、温度上昇72℃が得られました。ソリューション全体で、チップ・サイズの合計がわずか27.3 mm24個のeGaN FETで構成されています。eGaN互換ICのISL81807の採用によって、ゲート・ドライバ、コントローラ、ハウスキーピング電源、電流検出アンプの機能をワン・チップに集積することによって、eGaN FETを直接駆動できるため、複雑さとコストが大幅に削減できます。