重要なポイント

  • eGaN®FETは、同等のパワーMOSFETよりも、価格競争力があり、10倍高速で、非常に小型です。eGaN FETは、新しい応用を可能にする氷山の一角です。
  • eGaN FET向けの最も刺激的な新しいアプリケーションの2つは、包絡線追跡とワイヤレス・パワーです。
  • 包絡線追跡は、RFパワー・アンプのエネルギー効率を2倍にすることができます。シスコ社の「Cisco VNI Mobile Data Traffic Forecast」によると、2012年から2017年までのデータ伝送がCAGR(年平均成長率)66%で拡大すると予想され、eGaN FETが主なパワーの問題を解決する急成長市場を形成します。
  • ワイヤレス・パワーによって、うっとうしいワイヤーを使わずに、私たちの携帯電話やタブレット端末を充電できるので、やがて私たちの家やオフィスにある壁コンセントを無くすことができるでしょう。eGaN FETは、ワイヤレス・パワーの伝送規格として最近採用された6.78MHzで円滑に動作します。

電力変換:
シリコンの道は行き止まりです

Fast Just Got Fasterのこれまでのブログで、eGaN FETの破壊的な特質、および、それが成熟したパワーMOSFETを置き換えることが必然であることを議論しました。さらに、eGaN FETの優れた能力が、どのように新しい応用を可能にしているかについても議論しました。Fast Just Got Fasterのこのブログでは、eGaN技術によって可能になった2つの大きなアプリケーションについて議論しましょう。すなわち、包絡線追跡とワイヤレス・パワー伝送です。

包絡線追跡:今、私の声が聞こえますか?

RFアンプの包絡線追跡の概念は、新しいものではありません。しかし、RFパワー・アンプの効率を改善したいという要求と同様に、基地局の効率を改善したい、出力電力を大きくしたい、というますます高まる要求も、包絡線追跡の研究開発を強く牽引しています。


図1:固定電力および包絡線追跡(ET:Envelope Tracking)電力のRFパワー・アンプ特性

RFパワー・アンプは、衛星、基地局、携帯電話を通る私たちの声やデータのすべてを送信するために使われます。従来のRFパワー・アンプは、送信機が最大電力を必要としてもしなくても、最大電力を供給する固定の電力レベルで動作します。包絡線追跡がRFパワー・アンプに装備される場合、アンプは、固定電力レベルでは動作しませんが、電力をアンプの信号変調の要求に正確に合わせます。これを図1に示します。要求される電力の変調は、効率的な包絡線追跡に必要とされる高い電圧と高いスイッチング速度で動作することができるEPCの第3世代のEPC8000シリーズFETによって可能になります。

4G LTE技術用RFパワー・アンプは、前の世代よりも大きな電力が必要で、包絡線追跡が最も大きく貢献する用途です。今日、4G LTE技術は、グローバルな無線プラットフォームのわずか9%ですが、ゆくゆくは、世界のデータ伝送における初期の3Gネットワークに取って代わるでしょう。包絡線追跡は、RFパワー・アンプのエネルギー効率を2倍にすることがでます。

ワイヤレス・パワー:コードを切断してください!

ワイヤレス・パワーのアプリケーションは、携帯電話の充電器のような多くの生活必需品で一般的になってきています。現在、ほとんどのワイヤレス・パワーのソリューションは、200kHz程度の周波数で動作する誘導コイルとの密結合のソリューションに集中しています。これはQi規格です。その主な欠点は変換効率で、正確に配置することが要求されます。

クアルコム社、インテル社、ブロードコム社、サムスン社、デルファイ社、Witricity社などの業界のリーダーは最近、ワイヤレス・パワー伝送(高共鳴パワー伝送)向けに選定された高周波の規格(6.78MHz)の開発と商用化のために、ワイヤレス給電技術のコンソーシアムA4WP(Alliance for Wireless Power)を設立しました。eGaN FETの高速スイッチング能力は、高共鳴パワー伝送のアプリケーションに理想的です。一方、MOSFETは、これらの周波数では十分な動作ができません。

ワイヤレス・パワー伝送の初期のアプリケーションには、コンセントに差し込まずに、あるいは、実際に物理的な接触がなくても再充電できる携帯電話、ゲーム・コントローラ、ノート・パソコン、タブレット端末、さらには電気自動車などがあります。仕様の範囲内に近づけることが要求のすべてです。グローバルなワイヤレス・パワー伝送市場のCAGR(年平均成長率)は、55.5%と予測されています。自動車の無線充電の需要だけで、今後8年間で3倍になると予測され、 2020年までに151億米ドルになるとみられています。

次の話題

Fast Just Got Fasterの次のブログでは、LiDAR(光による検出と距離の測定)、データ通信用DC-DC、耐放射線デバイスについて議論する予定です。これらも、eGaN FET技術によって可能になったアプリケーションです。