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2016年の私の予想
Alex Lidow(アレックス・リドウ)、
CEO、共同創立者

重要なポイント

  • 無線充電は、Qi(チー)規格とAirFuel規格との間のいかなる規格戦争も排除するマルチモード・システムに牽引されて2016年には現実のものとなります。
  • 拡張現実と自動運転車は、2016年を通して関心が高まり、実際の製品は、これから10年のうちの後半に続々と登場してくるでしょう。
  • 現在、インターネットにアクセスできない40億人は、空中のソリューションに期待しています。ドローン? 気球? 衛星?
  • ムーアの法則は、ハイテクの世界における駆動力が衰え続けるでしょう。窒化ガリウムは、そのバトンを拾い上げるでしょう。

ワイヤレス・パワーが主流に

Ubiquitous Wireless Charging

ワイヤレス・パワーは、新しい製品やアプリケーションによって喚起された拡大する消費者の需要の牽引力となり続けています。消費者の採用を争う2つの異なる規格があります ―― Qi(チー)規格とAirFuel規格です。ただし、米ヒューレット・パッカード社のような企業が、すべての規格で動作するマルチモード・システムを発表しているので、消費者は、規格戦争を心配する必要はありません。消費者は、その間に、こぞってこれらの製品を求めて購入し、さらに開発が進み、そして、人々は、電池や電線への不満に終止符を打つでしょう。要するに、2016年は、ワイヤレス・パワー「元年」になるでしょう。

拡張現実は、バーチャル・リアリティーと並んで、その存在場所を確保

Augmented Reality

2015年に、無限の大量のインクがこぼれたかのように、バーチャル・リアリティーの可能性が議論されました。しかし、2016年には、ほとんどが拡張現実に関する話になり、開発者が仮想世界への対話性を強化したエキサイティングなアプリケーションがさまざまな業界にわたってたくさん産まれてきています。拡張現実は、(2~3の例を挙げると)3D製品の設計、遠隔手術、教育研修などの目的にますます使われるでしょう。バーチャル・リアリティーは、主にエンターテインメントに限定されていますが、拡張現実の利用例は、見た限り明らかに無限です。拡張現実の製品が手頃な価格になれば、2017年にはそれ自身が現実になり始めるでしょう。

自動運転車が進展 ―― ただし、今はハンドルを両手で持ちます

Autonomous Car

技術が進歩して自動運転車が可能になれば、技術と規制の問題をうまく解決するとして、自動運転車を求める消費者が増えるのは、まだ数年先になるでしょう。今後数年で、自動運転車によって、ドライバが乗客になってしまうと、クルマでスマートフォンをより長時間使うことができるようになります。すると、今度は、より広い無線帯域幅、5Gの実装への要求が高まり、スマートフォンの充電池の電池切れを防ぐために、車内での無線充電への要求も強くなります。その間に、私たちは、駐車場、高速道路での運転、低速での停止と発進などの特定の運転状況下で、クルマをもっと、もっと自動化したくなるでしょう。

発展途上国のインターネット利用は、ヘアサロンのフランチャイズチェーン米Greater Clip社のように成長

Low Earth Satellite

地球上のほとんどの人々が、まだインターネットにアクセスできずにいる一方で、無線技術の利用範囲は拡大し続けるでしょう。気球(米グーグル社の成層圏気球インターネット計画Loonなど)、衛星(グーグル社と米SpaceX社の合弁など)、および高高度無人航空機(米フェイスブック社)は、今後数年か、数10年で発展途上の世界に多くのサービスを提供するための最も可能性の高いソリューションです。

医療診断の向上が一段と注目へ

X-Ray Pill

ナノRNAやマイクロ画像などの新しい早期検出技術は、ある種のがんの早期発見に向けた重要な道筋になるでしょう。例えば、大腸内視鏡検査用の経口できるX線ピルは、2016年に欧州で認可される見込みで、大腸がん早期発見への大きな壁を排除することができます。2017年には、米国での認可が期待されています。

ムーアの法則の衰退は続く

ムーアの法則 ―― 約50年前に米インテル社の共同創立者ゴードン・ムーアによって提唱されたこの技術の法則は ―― 明らかに衰退していきます。インテル社でさえ、この法則から離れてきています。シリコンが、かつてのような進歩を達成できなくなったように、技術進歩のペースは失速していくでしょう。このため、技術革新が減少し、最終市場の発展も減速します。技術企業は、新製品を続々と開発し育てる技術革新を後押しして、以前の性能向上とコスト削減の基準に戻すことを推進するため、代替の解決策を探し続けています。

GaNはパワーを高度化

上記のアプリケーションを含む技術の進歩を推進する能力は、小型化はもちろんのこと、高速化、高電圧化、広帯域化、高効率化が強く要求されます。シリコンが、その性能限界に達してきていると共に、他の新規参入の技術が、急速なコスト削減、および主な市場における何100もの新しいアプリケーションを実現可能にする非常に優れた特性を達成しています。確立されたパワー・シリコンの生産者がこの技術の重要性を軽視する一方で、独立系のGaN企業 がこの歩みを引っ張るでしょう。