GaNの話シリコンを粉砕するために捧げたブログ
GaNを追い越し車線に駆り出す

GaNを追い越し車線に駆り出す

6 12, 2018

GaN is coming to cars
EPCのGaN FETが、車載品質に牽引されてハイウエーに乗っているとRebecca Poolは報告しています。

この記事は、もともと2018年5月16日(水)にCompound Semiconductorのウエブサイトに掲載されました。詳細は車載用途車載用途向けのeGaN技術とEPCのGaNソリューションをご覧ください。

EPCの最高経営責任者(CEO)であるAlex Lidow(アレックス・リドウ)に、彼のGaNパワー・デバイス事業の将来と、自動車認証の取得について尋ねます。

最近、同社は、LiDAR(光による検出と距離の測定)、48 Vの電力分配システム、および、その他のアプリケーション向けにAEC Q101認定の80 Vのディスクリート・トランジスタの供給を始めました。この最新のエンハンスメント・モードFETは、シリコンMOSFETよりも小さい実装面積で、より高いスイッチング周波数とより高い効率が得られています。これはほんの始まりに過ぎません。

当社には、LiDAR(センサー)用に設計された集積回路と同様に、多くのトランジスタがあり、ここにきて車載認証の取得を進めています」とLidowは強調します。「LiDARはコストと性能へのプレッシャが厳しいため、部品を統合して性能を向上させると同時に、コストを下げることが大きな課題です」とも語りました。

このGaNのパイオニアによれば、この業界は現在、多くのGaN部品のAEC認定を取得するために大きなプレッシャを受けています。米ベロダインLiDARや米Quanergy Systems などのLiDARセンサー・メーカーは、自動運転車だけでなく、安全システムやマッピングのアプリケーションで使うために、ここ数年間にわたって、米キャタピラーや米フォード・モーターなどにデバイスを供給しています。この用途では、GaN FETを使うことで、LiDARは、高分解能で長距離の測定に必要な大電流、短パルスを生成することができます。

一方、クルマからコンピュータまでの業界は、高輝度ヘッドライトや車載用ハイファイ・インフォテインメントの音量調整装置への要求から、電気分配バスの電圧が12 Vから48 Vに移行しています。各アプリケーションは、小型、高速、高効率なGaNトランジスタの恩恵を受けています。

Gallium Nitride is coming to automotive
Efficient Power Conversion(EPC)は、2個の窒化ガリウム・デバイスに対して、車載品質AEC Q101認定を無事に取得しました。

「生産にGaNを導入する多くの企業があります。米クライスラーにしろ、米ゼネラルモーターズにしろ、自動車会社は非常に真剣で、すべてを車載品質にしたいと考えています。これらの製品で車載認証を後押ししていることが分かりました。重要なのは、認証は、すべての世界に対して準備が整っていることも示すことになります。このバーがセットされ、GaNは、その上を飛び、クリアしました」とLidowは述べています。

実際、Lidowは、業界の懸念がなくなっていることを確信しています。すでにシリコン・パワーMOSFETを使っている設計技術者が乗り気にならないことや信頼性への懸念はなくなり、このサプライチェーンは、十分、準備が整ってきており、重要なのは価格と競争になりました。

「シリコンMOSFETが立ち退き始めている一部の部品では、量産価格が20米セント程度です」と彼は言います。「販売代理店のウエブサイトを見ると、あなたが見る少量の価格設定がすべてであるという事実に基づいて、GaNの価格に対して間違った印象を持つ人もいると思います。大量購入の価格を実際に見つければ、その素晴らしさに驚きくでしょう」。

「GaNはこのような評判を持っていますが、一度で1巻きの注文に悩まされています」。

すべてを基板上に

言い換えれば、EPCは低電圧デバイスに注力し、米トランスフォームや米MACOM Technology Solutionsのような高電圧アプリケーションを残しています。確かに昨年、トランスフォームは、電気自動車の充電器搭載基板向けAC-DC変換や、エアコン、ヒーター、パワー・ステアリング、オイル・ポンプに使う補助用の高電圧DC-DC変換を対象とした世界初のAEC-Q101認定の650 VのGaNトランジスタを出荷しました。

多くのメーカーが品質認定を通じて、より高耐圧のGaNオン・シリコンのデバイスを引き続き推進していますが、Lidowは、依然として低耐圧デバイスの実際の動作にあると考えているため、同社は2つの戦略を持っています。

第1に、同社は、小型で安価な高性能のチップを提供し続けるでしょう。「現在は「第5世代」ですが、理論上の性能に達すると仮定すれば、これらのデバイスを1/300に小型化できる可能性があります。私たちは、16年の期間を経て「第8世代」に向かい、それは80年代と90年代のパワーMOSFETの軌跡に非常によく似ています」とLidowは語っています。

同時に、Lidowたちは、もっと高度なGaN集積回路システムを製品化する予定です。同社は、米テキサス・インスツルメンツなどとシリコン・ドライバICとGaNデバイスを1個のパッケージに統合したシステムを共同で開発すると同時に、モノリシックのGaN ICも開発しています。

「標準論理レベルでゲートを駆動することができる非常に小型のGaNデバイスがなければ、ドライバICが必要になり、テキサス・インスツルメンツ、米uPI Semiconductor、村田製作所、米マキシム・インテグレーテッド、米インターシル(ルネサス エレクトロニクスの傘下)はすべて、ICを当社のGaNと動作するようにしています。ただし、実際は、シリコン・ドライバがGaNデバイスの速度を制限します ―― しかし、ドライバ回路をGaNトランジスタ・チップに集積することで、この問題を解決できます」とLidowは指摘しています。

LiDAR sensors using GaN FETs create a fast and accurate digital point cloud

Alex Lidow:「実際、もはや設計者がGaNを採用しない正当な理由はありません ―― 実際に基板に乗せるか、失うかです」。

実際、EPCは、今年3月に初めてドライバを統合したFET ICを発表しました。これらの200 Vの集積化したゲート・ドライバICは、トランジスタの速度を遅くする寄生インダクタンスがなく、ワイヤレス・パワーや高周波DC- DC変換の用途を狙って設計されています。

来たる2019年に、Lidowはハーフブリッジ回路を考えて、レベル・シフト回路とドライバをすべて、eGaN FETに集積してモノリシック化します。「現時点で、おカネ、設計時間、性能など、すべてを節約するために、GaNのディスクリート・デバイスに多くの機能を追加するという一般的な流れが始まっています」と語っています。

間違いなく、GaNは急速に進歩しており、1年ごとにシリコンとの性能の差が広がっています。今日、中国を拠点とする企業を含むより多くのプレーヤが市場に参入しており、Lidowは「実際、もはや設計者がGaNを考慮しない正当な理由がありません ―― 実際に基板に乗せるか、失うかです」と述べています。

しかし、より多くの企業がこの業界に加わるにつれて、EPCは、競争の激化を懸念していませんか? 端的に言えば、いいえです。

「サプライチェーンに加わる企業が増えれば、ユーザーは、より強く製品を求めるようになります。供給元が1社であることを好む人はいません」とLidow氏は指摘します。「ほかの人にも言っていますが、このGaNの世界で、今後5年間、あなたは私の友人であり、私が私の製品を宣伝するように、あなたの製品も宣伝します。ただし、その後は本気で戦いましょう」と語っています。