GaNの話シリコンを粉砕するために捧げたブログ
エネルギー需要とコストが増大するにつれてパワー・チェーンの選択肢として浮上するGaN

エネルギー需要とコストが増大するにつれてパワー・チェーンの選択肢として浮上するGaN

11 29, 2018

このブログは、もともとData Center Frontier のウエブサイトに2018年11月5日にBill Kleyman氏によって公開されましたデータセンター向けのeGaN技術とEPCのGaNソリューションの詳細をご覧ください。

データセンターは絶えず変化するものであり、当社の技術的な狙いの1つです。しかし、関連業界における最大の変化は、時として、データセンターを動かす中核で起こり、一見しただけでは分からないことがあります。この例では、データセンターの電源および電力変換機器での窒化ガリウム(GaN)の利用など、市場での独創的なソリューションの可能性について紹介します。

データセンターのリーダーたちの間で共通の認識は、業界の現在の電力変換技術は十分に優れているということです。しかし、それは、もはや単純には当てはまりません。将来的にデータが大幅に増加し、データセンターのスペースがもっと必要になるとみています。

調査会社の米ガートナーは、特に高電力密度のサーバーでは、キロワット時(kWh)当たりのコストの増加と潜在的な需要のために、電力コストが継続的に少なくとも年間10%増加していると推定しています。最近の米NRDC(天然資源防護協議会)のレポートによると、2020年までにデータセンターの電力消費量は年間約1400億kwhに増加すると予測されています。これは50基の発電所の年間発電量に相当し、米国企業の年間電気代は130億米ドルになります。

一方、米AFCOMのState of the Data Center の最新レポートによると、回答者の大多数がラックの電力密度が増加していると報告していることが分かります。ラックの電力密度は増加していますが、その同じレポートでは、実際の企業のデータセンターの容量の需要はわずかしか増えていないことが分かります。

これは、今日のデータセンターのリーダーがより多くの仕事を、より狭いスペースで実施していることを意味します。電力は現在、データセンターの運用維持費(OPEX)の約10%を占めており、その費用は5年以内に15%増加すると予想されていることも考慮しましょう。

電力ニーズの拡大を前提にデータセンターを展望すると、最近の傾向であるエッジ・コンピューティング設計によって変わります。エッジ・コンピューティングは、ラックの密度から消費電力まで、より小規模なデータセンター配置を展開するという方法に直接影響します。エッジ・データセンターとエッジ・コンピューティングの目的は、データの作成と利用が行われる場所の近くに施設を配置することなので、より小規模で超高効率でなければならないデータセンターをより多く配置することになります。エッジ設計の場合、データセンターの管理者は、高性能、高電力効率、および高電力密度を提供する先進的な電源ソリューションの恩恵を受けるでしょう。

データセンターの電力システムはどのように維持していますか?

この市場は現在、電力変換装置に使うために窒化ガリウム(GaN)に注目しています。GaNは、しばらく前から存在していましたが、データセンター用途には比較的新しいものです。

現在、従来のシリコン・ベースのトランジスタに代わるものとして、データセンターの電力分配に、より高い効率をもたらす可能性が研究されています。

トランジスタは当初、小型で柔軟性があり高効率なので広く普及しました。そして1970年代と1980年代にわたって、より集積化した回路などトランジスタが強化され、初期の計算の繰り返し技術が、その技術をさらに普及させました。シリコン・ベースの金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)が、そのすべての中心にありました。

今日の市場では、シリコン主導の電力効率の上限に達しています。しかし、それは、まったく悪い話ではありません。より優れたデータセンターのソリューションが実現しつつあります。数10年ぶりに初めて、新たに出現した半導体技術が、電力システム全体のコストを削減すると同時に、シリコンよりも高効率であることが証明されています。

GaNに入りましょう。ワイド・バンドギャップ半導体材料は、1990年代に市場に出回りました。そして、おそらくその最もよく知られた用途は、LED(発光ダイオード)照明技術の重要な部品です。しかし、他にも多くの用途があり、今日では、半導体パワー・デバイスやRF無線部品の生産にも使われています。

数10年ぶりに初めて、新たに出現した半導体技術が、電力システム全体のコストを削減すると同時に、シリコンよりも高効率であることが証明されています。

Datacenter
米国ラスベガスのSUPERNAPキャンパス内の電力室(写真:Switch)。

最初のエンハンスメント・モード窒化ガリウム・トランジスタは、2010年に一般に販売されるようになりました。データセンターや電力効率に関しては、GaNは、MOSFETの単なる代替として機能するかもしれません。

GaNは、破壊的な技術になる可能性を秘めています。シリコンと比べた場合、GaNは、電力密度を最大40%向上させ、2~3倍高速にスイッチングし、放熱を減らし、電力システム全体のコストを削減することができます。

最終的には、高耐圧GaNを使って構成したラックに実装した電源やその他の機器を使用すると、ラックのスペース効率、そして、最終的にはデータセンター全体の性能を最大化するために必要な電力密度が得られる可能性があります。

関心を集めているGaN技術

近年、高耐圧GaNが製品化され、製造中で入手可能です。そして、電源や産業機器の信頼できるメーカーが生産中です。例えば、米Bel Power Solutions、米コルセア、台湾のシーソニック、安川電機などは、効率と電力密度を向上させるGaNの能力を実証するGaNベースの製品を販売しています。

1年以上前、高性能、高信頼性のGaN製品に焦点を当てている米Transphormは、Bel PowerがTransphormのGaN FETを使った史上初のAC-DC電源を製品化したと発表しました。この市場の他のベンダーには、カナダのGAN SystemsやEfficient Power Conversionなどがあり、それぞれが同様にデータセンター運営者向けの製品を提供しています。

コストに関しては、これを考えてください。パワー分野のリーダーたちは、10年以上前から高耐圧GaNの研究開発を続けています。そのため、GaNのプラットフォームや製品の多くは、すでに第3世代の技術になっています。研究や世代間の改善によって、性能、品質、信頼性が向上しただけでなく、トランジスタの価格を毎年、下げることも可能になりました。これは、高耐圧GaNの技術革新と数量の増加がコスト削減を牽引することを示しています。そして、多くの企業がすでに、データセンター全体のOPEX(運用コスト)を削減するためにGaNを使っています。GaN技術に関するData Center Frontierの最新の特別レポートの例を直接参照してください。

この市場では、GaNの半導体技術の利点を活かして、サーバー、電源、その他の最終機器をより多くのメーカーが製品化することになるでしょう。

今のところ、GaNは、まだ、比較的新しい技術ですが、採用が拡大しています。現実には、電力密度、コスト、スペースに対する要求は、強くなり続けており、確実に、これらの課題がなくなることはありません。この業界は、これらの重要な課題に対する答えを探し求め続けなければならないでしょう。そしてGaNが、その答えの一部である可能性が非常に高いのです。

GaN技術の最新かつ最も詳細な内容、およびデータセンター業界とデータセンターの将来の電力にどう関係するか、に関するData Center Frontierの最新の記事や特別レポート・シリーズなどは、以下を参照してください。

Data Center Frontierの特別レポート・シリーズと継続的な調査内容を通じて、エッジ・コンピューティングの革命的な世界をさらに調べられます。