GaNは、どこに行くの?

GaNは、どこに行くの?

電力変換の世界において、シリコンは、燃料を使い果たしており、窒化ガリウム技術は、より速いスイッチング速度、より小さなサイズ、より高い効率、そして今では、より低いコストを提供する方向に動いています。GaN・・・それは、私たちの生き方を変えています!

窒化ガリウムは、シリコンを置き換えることができますか?

GaNベースのパワー・トランジスタと集積回路の最初の採用者は、GaNオン・シリコンのトランジスタがMOSFETの約10倍、IGBTの100倍の速度でスイッチングする能力を利用したアプリケーションでした。つまり、4G / LTE基地局のRF包絡線追跡、および、自動運転車、ロボット、ドローン、セキュリティ・システム向けのLidar(光による検出と距離の測定)システムなどのアプリケーションは、GaNの高速スイッチング能力を最大限に活用した最初の大量需要のアプリケーションでした。これらの初期のアプリケーション以来、生産量は増加し、現在、GaNパワー・デバイスは、同様のオン抵抗のMOSFET部品と価格が同等になる地点にいます。これによって、データセやコンピュータ向けの48 VのDC/DC変換などの従来のアプリケーションや、イーモビリティ、ロボット、ドローン向けのBLDCモーター、需要の大きい自動車の各アプリケーションで、窒化ガリウム・ベースのソリューションを採用できるようになりました。

データセンター・サーバー

クラウドの成長は、エネルギーの主要な消費者であるデータセンターにおいて、これに対応する拡張を余儀なくされています。エネルギー損失を削減するための1つの手段は、データセンターの入力から最終のPOL(負荷点)に電力を供給するときに、電力変換のすべての段階を排除することです。通常、電力は2段階で変換されます。すなわち、バックプレーンの48 Vから処理基板に分配するための12 Vに変換され、最終的には、デジタル・チップに電力を供給する実際の負荷点で約1 Vに変換されます。GaNの高速なスイッチング速度、小さなサイズ、より高い効率によって、電源回路の設計者は今、12 Vの中間変換点なしで、負荷点で必要な1 V程度に、48 Vから直接変換することができます。クラウド・インフラをサポートするために必要なコンピューティング・パワーとデータセンターの急速な拡大を考えると、この1段のアーキテクチャによる潜在的な省エネは莫大です。

自動運転車/拡張現実

GaN enables Autonomous Vehicles GaNは、自動運転車を可能にします。非常にエキサイティングで未来を垣間見ることができる1つのアプリケーションは、自律運転車または自動運転車です。よく見ると、自動車の「目」を提供するのは、自動車の屋根にあるLidar(光による検出と距離の測定)システムであることが分かります。Lidar装置は、すばやく走査された光線を発射し、この光線が戻るまでにかかる時間と発射された方向を記録します。これによって、自動車の周囲の状況を360度にわたって3次元で画像化できます。このレーザー光の送信速度が速いほど、Lidarが検出するマッピング対象物、または対象物の位置の解像度が高くなります。Lidarシステムの中核は、GaN技術が重要な役割を果たす場所であり、同等のシリコン部品よりも高速にレーザー信号を発射できるようになります。

GaN is used in augmented reality devices同様のLidar技術は、ユーザーに3次元のリアルタイム画像を提供する拡張現実ヘッドセットの中の設計に採用されています。私たちが今、知っているゲームでの使用に加えて、拡張現実は、兵士が、まるで目の前に敵が立っているかのように、遠くから敵を見ることもできるようにします。敵の前線の後方からの画像は、Lidarを搭載したドローンで撮影されます。民間の場合、拡張現実ヘッドセットを使って、世界中のあらゆる場所の3次元リアルタイム画像にアクセスできます。

GaN devices in Robots最先端のロボットもLidarを使っています。これらのロボットは、Lidarが高速で正確なので、3次元デジタル画像を作成するために必要な計算量が少なくて済むため、Lidarを「目」として使っています。

耐放射線性と宇宙

Gallium Nitride devices used in space applications窒化ガリウム・デバイスは、宇宙にもあります。窒化ガリウムは、本質的に放射線耐性があるため、宇宙は、多くのGaNアプリケーションにとって必然となる領域です。半導体を放射線の影響から保護するために特別な製造技術と特別なパッケージが必要なシリコンとは異なり、GaNの本来の属性によって、これらの有害な放射線に対して比較的耐性があります。GaNトランジスタは、イオン・スラスタ(イオン・エンジン)や、衛星のソーラー・パネルからの電力変換、宇宙ミッションで使われるロボットや自動計装だけでなく、小型人工衛星CubeSatで使われるリアクション・ ホイールを駆動するための丈夫で高精度のBLDC モーター、さらに、Lidarを使った測距用途にも使われます。GaNデバイスは、過酷な環境で生き残る能力に加えて、小型、高効率によって、宇宙用途での使用に非常に魅力的です。

モーター駆動

Gallium Nitride for motor drivesイーモビリティ(eMobility)に対する需要の高まりには、高効率で小型なモーター駆動回路が必要です。GaN FETとICによって、サイズ、重さ、コストを削減すると同時に、モーターの効率を向上させるインバータの設計が可能になります;これによって、モーター・システムの小型化、軽量化、低雑音化、トルクの増加、範囲の拡大、および精度の向上が可能になります。これらの利点によって、電動自転車、電動キックボード、および、掃除機やドローンなどのパーソナル・ロボットに向けたより小型・軽量で、より高効率なモーター・システムを実現できます。

再生可能エネルギー

GaN-based power solutions for renewable energy再生可能エネルギー源の採用を加速するには、長期的な信頼性を犠牲にすることなく、より高効率な変換、エネルギーの蓄電容量の増加、低コスト化を実現しなければなりません。GaNベースのパワー・ソリューションは、太陽光発電用のマイクロインバータ、オプティマイザ、および、発電電力に使われるエネルギー蓄電システムを実現可能にし、比類のない耐久性を提供すると同時に、効率を高め、サイズとコストを削減します。

ワイヤレス・パワー

Gallium Nitride in the wireless homeワイヤレス・パワーの台頭は、GaNによって可能になったもう1つの分かりやすいアプリケーションです。電源線は、もはや必要ありません――コードを切断することができます。無線で充電できる携帯電話が市場に出回っており、タブレット、コンピュータ、さらにはモバイル・カートの医療機器でさえも、それほど遅れをとっていません。自動車のセンター・コンソールは、電話を無線で充電するだけでなく、まもなく自動車のインフォテインメントやナビゲーションのシステム全体を充電するための電源になります。最終的には、家全体に、照明、テレビ、その他の家電製品に無線で電力を供給する送信機とリピータを設置することができます。GaNトランジスタは、このエキサイティングで急速に台頭しているアプリケーションをサポートし・・・そして、私たちの生き方を変えています。

医療技術

Gan use in medical technologiesサイズが重要です。そして良い例は、ピル(錠剤)のサイズに収まる非常に小さなX線装置でのGaN部品の使用です。このピルは、大腸内視鏡検査を行うために使われます。画像は、ピルが消化管を通過するときに撮影されます。X線装置からのデジタル情報は、医師による評価のために、患者の体外の受信機に無線で送信されます。患者にとっては検査が楽になり、医師にとっては大腸の高解像度画像が得られることになります。このアプリケーションでは、GaNの非常に小さいサイズと高速なスイッチング速度が、ピル内のX線装置に電力を供給するための鍵となります。

Gallium Nitride is used in imaging equipmentMRI(核磁気共鳴画像)装置は、GaNの優れた性能を利用して、10〜100倍高い解像度が得られるため、がんやその他の病気を、より早く、より正確に、より安価に発見できます。

Gan in MedicineGaNトランジスタを使ったワイヤレス・パワー給電は、心臓ポンプや糖尿病患者のために必要な痛みのシンチレータなどの埋め込み型医療機器を充電するために使うことができるので、身体から引き出すワイヤーが不要になります。すなわち、感染の原因となる可能性があるワイヤーが不要になります。GaNは、医療用途において主要な役割を担っており、革新的なソリューションを発見し実装し始めたばかりです。

包絡線追跡

GaN in telecommunications電気通信は、GaN電力変換デバイスのもう1つの新しいアプリケーションです。携帯電話の使用では、商取引、ビデオ、ゲームでの電話の利用によって、指数関数的に多くのデータを送信したいという要求と相まって、ますます広い帯域幅が必要になっています。これが、包絡線追跡の追い風になります。包絡線追跡を使うと、4Gのデータ伝送速度での基地局の効率が2倍になり、予想される5Gアーキテクチャでの効率が3倍になるので、送信されるキャリア信号で情報を正確に送信するために必要な電力量が減ります。超高速で効率的にスイッチングするGaNの能力は、電気通信用包絡線追跡システムを実現可能にする重要な要素です。

炭化ケイ素(SiC)に対する窒化ガリウム(GaN)の利点は何ですか?

GaNオン・シリコンとSiC(炭化ケイ素)はいずれも、シリコン単独よりも高い電圧、高い周波数、および、より集積化された製品を可能にするワイド・バンドギャップ半導体のソリューションです。これらの要因によって、エレクトロニクス市場全体でSiCとGaNが広く採用されてきています。SiCは、900 V以上の高耐圧用途に最適です。GaNオン・シリコンは、700 V以下の用途に対応します。GaN、SiC、および、シリコンIGBTとの間の主戦場は、電気自動車の電気駆動装置の大部分が設計されている700 V〜900 Vの用途です。

今後の展望

技術としてのGaNは、まだ初期段階にあり、シリコン・デバイスが存在していた70年以上と比べて、わずか過去数年間、市販されているだけです。そして、ここで示したように、その優れた効率、スイッチング速度、サイズを利用する用途は、すでに出現しています。GaN技術が、その学習曲線を登り、最終用途がより広まり、性能が年々向上するにつれて、将来は約束されています。

間違いありません;GaNは・・・私たちの生き方を変えています!