スイッチング・パワー・コンバータのデバイスの選択と比較に、オン抵抗Rds(on)を使うべきではないわけ
GaNの話 – Andrea Gorgerino
8 05, 2023
オン抵抗RDS(ON)は、電圧と共に、Si MOSFETやGaN FETを評価するために一般的に使われる普遍的なパラメータです。RDS(ON)は、特定の技術プラットフォーム内のデバイスのサイズ、つまり、そのコストを示す優れた指標です。ただし、ほとんどのスイッチング・パワー・コンバータでは、損失は、導通損失とスイッチング損失の組み合わせです。したがって、RDS(ON)は、異なる技術プラットフォーム間、または同じ技術プラットフォーム内であっても、信頼できる性能の指標ではありません。これは、設計者がSi MOSFETからGaN FETに移行する場合に特に当てはまります。
Si MOSFETとGaN FETでは、基本的なデバイス特性によって、パラメータのトレードオフが大きく異なります。異なるメーカーのデバイスを簡単に比較できるツールが一般的に不足しているため、それらの比較はさらに複雑になります。この課題に対応するため、EPCは米DiscoverEEと提携し、2万を超えるSi MOSFETとGaN FETのデータベースに基づいたシリコンとeGaN FETのクロスレファレンス・ツールを公開します。例えば、ユーザーは、ツールのデフォルト条件を使うことで、80 V、2.2 mΩのデバイスである米オン・セミコンダクターのFDMS2D5N08Cの代替品を検索できます。このツールは、データシートの表から引用した簡略化されたモデルに依存し、指定された一連のデフォルト条件における同等の性能指数FOM(figure of merit)をワット単位で計算します。図1は、この検索の結果であり、表示されているすべてのGaN FETのRDS(ON)が大きくなっていますが、電力損失の性能指数も優れていることが分かります。
図1:オン・セミコンダクターのFDMS2D5N08Cのクロスレファレンス検索の結果
この選択を検証するために、ユーザーは、EPCが開発したこのバック(降圧型)・コンバータの損失計算ツールを使えます。このツールは、同期整流型バック・コンバータとして動作する基本的なハーフブリッジ構成での損失を計算します。この基本的な構成要素は、パワー・コンバータのさまざまな使用例を表しています。図2は、500 kHzで動作する典型的な 48 V入力、12 V、26 A出力のバック・コンバータにおけるツールからの主な結果を示しています(リストは、実際にはさらに長くなります)。この表から、同じ傾向が観察できます。RDS(ON)は、全損失の誤解を招く指標です。例えば、この比較ではEPC2088のRDS(ON)は最も低くなりますが、損失は最小ではありません。EPC2619とEPC2065のRDS(ON)は同じですが、EPC2619の性能が、はるかに優れています。
図2:異なるRDS(ON)を備えたデバイスに対するバック・コンバータの制御スイッチの合計損失の比較
この選択を検証するために、EPCのアプリケーション・グループは、オン・セミコンダクターのFDMS2D5N08Cと最新世代のEPC2619を実際に並べて比較しました。図3に示すように、2つの基板を同じサイズで、可能な限り近いレイアウトで構築しました。
図3:EPC2619(左)とFDMS2D5N08C(右)のテスト基板の表面と裏面
比較の結果が図4です。これは、以前の比較を裏付けています:オン抵抗3.3 mΩのEPC2619(GaN FET)は、2.2 mΩのFDMS2D5N08C(Si MOSFET)よりも、損失がはるかに小さくなっています。測定結果には、コイルの損失も含まれていることに注意してください(両方の基板に同じコイルを使っています)。
図4:500 kHzで48 V入力、12 V、26 A出力のバック・コンバータの効率と損失
設計者の観点から見ると、RDS(ON)はデバイスを比較する簡単な方法です。ただし、これは、実際の性能の誤解を招く指標であることが分かっています。さらに、これまでに見られた傾向は、かなり一貫していますが、正確なトレードオフは、アプリケーションや条件によるため、データシートを単純に読んだだけでは評価がさらに難しくなります。このため、EPCは、ユーザーを適切なGaN FETに迅速に導くために、シリコンFETとeGaN FETのクロスリファレンス・ツールやバック損失計算ツールなどのツールに投資しました。これによって、デバイス選択の主な基準としてRDS(ON)が使われることが減ると期待します。
パワー・エレクトロニクス技術が進化し続けるにつれて、RDS(ON)などの従来のパラメータの制限を理解することが重要です。EPCとDiscoverEEが提供するクロスリファレンス・ツールを使うと、設計者はSi MOSFETからGaN FETへの移行を検索できるようになり、システムの性能を最大化できます。
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