GaNの話シリコンを粉砕するために捧げたブログ
台湾PicotestがeGaN® FETを使って、画期的な高速過渡負荷電流ステッパをいかに設計したか ―― データセンター、AI、EV、ASIC、サーバーの各用途向けパワー・システムの計測に革命を起こす

台湾PicotestがeGaN® FETを使って、画期的な高速過渡負荷電流ステッパをいかに設計したか ―― データセンター、AI、EV、ASIC、サーバーの各用途向けパワー・システムの計測に革命を起こす

2 08, 2024

パワー・インテグリティやパワー・システムの計測における専用テスト装置で有名な 台湾Picotestは、これまで見たことのないレベルの窒化ガリウム(GaN)の集積回路を使った画期的な高速過渡負荷電流ステッパ・シリーズを製品化しました。この最新の革新は、特にデータセンター、AI(人工知能)、グラフィックス、EV(電気自動車)、ASIC(特定用途向け集積回路)テスト、サーバーなどの要求の厳しい低電圧、大電流用途において、業界標準を再定義する態勢を整えています。これらの負荷ステッパは、パワー・インテグリティの計測における重要な課題に対処するさまざまな機能をもたらします。

未来に力を与える

電圧安定化モジュール(VRM:Voltage Regulation Module)と電力分配網(PDN:power distribution network)の検証は、起動、動的過渡特性、安定性、雑音の評価に不可欠であり、迅速な負荷電流の遷移、高いピーク電力と平均電力、適応可能なフォーム・ファクタが必要です。Picotestの革新的な負荷ステッパは、GaN技術、革新的な電力供給フォーマット、高度な冷却機構を利用して、これらのパワー・システムの厳しい要件を満たします。

搭載したGaN FET

下の図に示す搭載したGaN FETは、入手可能な2×2バンプのBGA CSP封止の定格100 VのEPC2036で、オン抵抗RDSonは標準値で62 mΩです。

The EPC2036 GaN FET is featured in Picotest load steppers

対処された問題と画期的な解決策

  1. 厳格なパワー・インテグリティ設計

    優れたパワー・インテグリティ設計は、システム性能と製品の信頼性にとって最も重要です。負荷ステッパは、インピーダンスや負荷ステップ過渡特性テストを通じて、PDNの検証とその妥当性に対するニーズに対応します。

  2. コストのかかる損傷を回避

    これらの負荷ステッパは、CPU、ASIC、FPGA、その他の専用ICなどの高価なデジタル負荷に損傷を与える動的負荷過渡現象のリスクを排除します。ICテスト器具にとって重要なパワー・システムの検査も可能になります。

  3. 電子負荷の限界を克服

    従来の電子負荷は、しばしば、遅すぎ、過剰な容量が存在し、PDN性能テストに必要な帯域幅に対応するために必要なエッジ・レートが不十分です。負荷ステッパは、高い帯域幅、向上した電力/電流能力、革新的なフォーム・ファクタによって、これらの制限を克服します。

  4. 技術のブレークスルー

    これらのブレークスルーを達成するために、Picotestは、 GaNの電力密度の限界を押し上げ、専用の抵抗器を開発し、高度な冷却技術を採用し、高速デジタル制御を統合しました。負荷ステップが適用されるステッパとプリント回路基板の 間の相互接続におけるインダクタンスをほぼゼロに低減することが、高い帯域幅のテストに必要なエッジ・レートを達成するための鍵でした。

なぜGaN?

極限の速度

GaNは、シリコンと比べて、電子移動度が高いため、スイッチング速度が大幅に高速化できます。GaNは、シリコンよりもバンドギャップが広く、オン状態とオフ状態の間のより迅速な遷移が可能になるため、スイッチング速度の高速化にも貢献します。加えて、GaN FETは、シリコンMOSFETと比べて、寄生容量が低くなっています。容量の低減によって、スイッチング時の充放電時間が短縮され、その結果、より高速な遷移が可能になります。

  • VRM検証やPDN検証向けの高速過渡負荷ステッパのこのアプリケーションでは、GaNトランジスタの非常に高速なスイッチング能力が正確で高速な過渡負荷状態を生成する能力に貢献し、技術者が、動的な動作条件下での電力供給システムの性能と安定性を評価できるようになります。

高電流密度

GaN FETは、シリコンMOSFETと比べて、単位面積当たりのオン抵抗が低く、より効率的な電流伝導が可能になり、電力消費が減少し、より大きな電流を流すことができます。GaNの電子移動度が高いため、より高速な電荷転送が可能になり、この結果、より高い電流密度を処理できるようになります。

  • このアプリケーションでは、各EPC2036(GaN FET)は、0.9 mm×0.9 mmと非常に小さな実装面積で5 Aを流せます。これによって、前例のないレベルのGaNの集積化が可能になります;2000 Aの負荷基板は、超高速GaNスイッチを使った512個の負荷セルで構成され、実装面積100 mm×100 mmで最大 2047 Aが得られます。各負荷セルは、約2.5 mm×5.5 mmで、一般的な米粒よりも小さく、1セル当たり最大5 Aの電流を流すことができます。これによって、プローブ・チップの内側からのスケーリングが可能になります。
GaN FETs allow for high current density

パワー・システムのテスト向けのGaN FETを使った画期的な設計

Picotestの高速過渡負荷電流ステッパは、パワー・システムのテストの分野に、変革の機会をもたらします。既存の制限を克服し、これまで見たことのないレベルのGaNの集積化を含む前例のない能力を導入することによって、これらの革新は、特にデータセンター、AI、グラフィックス、EV、 ASIC、サーバーなど低電圧、大電流が要求される用途で業界標準を再定義することになります。

詳細について:GaNのエキスパートに聞く

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