GaNベースのインバータのEPC9145は、範囲、精度、トルクに関するモーターの性能を向上させ、ボーナスとして、電解コンデンサを排除して、システム全体のコストを削減し、信頼性を高めます。サイズが非常に小さいため、モーターのハウジングに統合して、EMI(電磁干渉)雑音を最小限に抑え、密度を最大化し、重さを最小化することができます。
EPC(Efficient Power Conversion Corporation、本社:カリフォルニア州エルセグンド)は11月9日、eGaN® FETのEPC2206を使った1 kWの3相BLDCモーター駆動用インバータ「EPC9145」を発売したと発表しました。
デモ・ボードのEPC9145は、最大オン抵抗RDS(on)が2.2 mΩ、最大デバイス電圧80 VのeGaN FET(EPC2206)を搭載した3相BLDCモーター駆動用インバータ基板です。この基板は、電動自転車、イーモーション、ドローン、ロボットのモーター用途に合わせ込まれています。バス電圧が48 Vの場合、自然対流での温度上昇が50°Cで、15 ARMSの定常状態を実現し、ヒートシンクを取り付けた状態で20 ARMS(28 APEAK)を得ることができます。EPC9145は、最大100 kHz、60 V入力、50 APEAKでテストされています。
EPC9145には、完全なモーター駆動用インバータをサポートするために必要なすべての重要な機能回路が含まれており、基板の面積は、わずか130 mm✕100 mm(コネクタを含む)です。EPC9145は、スイスのSTマイクロエレクトロニクスのスマート・モーター駆動用GaNハーフブリッジ・ドライバのSTDRIVEG600も備えています。
GaN FETは、逆回復がゼロで高速にスイッチングできます。この能力によって、100 kHz程度のより高いスイッチング周波数が可能になり、電解コンデンサが不要になり、モーターの損失が減少します。加えて、デッドタイムを約20 nsに短縮して、1 A当たりのトルクを高めることができます。全体として、GaNデバイスは、インバータをモーター内に統合することによって、インバータとモーター・システムの効率を改善し、サイズと重さを削減します。
このデモ・ボードで示されたGaNモーター駆動回路の主な利点は、低音響雑音のための低歪み、磁気損失を低減するための低電流リップル、精度を向上するための低トルク・リップル、低コスト化のためのフィルタの軽減です。この基板の重さとサイズの削減によって、駆動回路をモーターのハウジングに組み込むことが可能になり、低インダクタンス、高電力密度のモーターもサポートします。
EPCは、このインバータ基板をコントローラ基板開発ツールに接続するインタフェース基板など、完全なデモ・キットを提供します。EPC9145と互換性のあるコントローラ・インタフェ-スやコントローラ基板は、米マイクロチップ・テクノロジー用のEPC9147A、米テキサス・インスツルメンツ用のEPC9147B、STマイクロエレクトロニクス用のEPC9147C、および汎用インタフェース基板としてのEPC9147Eです。
「誰もが、より小さく、より軽く、より雑音が少なく、より大きなトルク、より広い範囲で、より高い精度のモーターを望んでいます。eGaNデバイスのおかげで、費用対効果の高いモーターとGaNインバータは、シリコンMOSFETベースのインバータを備えた高価なモーターと同じ性能を提供します。これは、性能を犠牲にすることなく、システム・コストを節約するための優れた方法です」とCEO(最高経営責任者)のAlex Lidow(アレックス・リドウ)は語っています。
米国での参考価格と入手方法
デモ・ボードのEPC9145の単価は667.18米ドルで、米Digi-Key社のウエブサイト(https://www.digikey.com/en/supplier-centers/epc)で購入でき、即座に配送されます。
EPCについて
EPCは、エンハンスメント・モード窒化ガリウムに基づいたパワー・マネージメント(電源管理)・デバイスのリーダーです。EPCは、最高のシリコン・パワーMOSFETよりも何倍も優れたデバイス特性を備えたエンハンスメント・モード窒化ガリウム・オン・シリコン(eGaN)FETを初めて製品化しました。DC-DCコンバータ、 ワイヤレス・パワー伝送、 包絡線追跡、自動車、パワー・インバータ、リモート・センシング技術(Lidar)、 D級オーディオ・アンプ などの用途で、パワーMOSFETを置き換えられます。
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