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効率95%で48 V入力、1 V / 10 A出力のVRMハイブリッド・コンバータ

効率95%で48 V入力、1 V / 10 A出力のVRMハイブリッド・コンバータ

10 07, 2018

はじめに:Efficient Power Conversionは、著者と米コロラド大学ボルダー校CUB:Department of Electrical, Computer, and Energy Engineering(ECEE)の協力に感謝します。

 

Gab-Su Seo1,2、Ratul Das1、and Hanh-Phuc Le1
1米コロラド大学のDepartment of Electrical, Computer, and Energy Engineering
2米国コロラドの国立再生可能エネルギー研究所のPower Systems Engineering Center

クラウド・コンピューティングやビッグデータ処理への需要が劇的に増加していることから、米国のデータセンターの電力消費量は、2020年までに730億kWhに達すると予測されています [1]。これは、米国全体の電力消費量の約10%を占めます。この消費の大部分は、非効率な電力供給アーキテクチャによる損失によって引き起こされ、改善のために大きな注意を払わなければなりません [2],[3]。

48 Vのバス・アーキテクチャとデュアル・コイルのハイブリッド・コンバータ(DIHC)の出現

従来の12 Vバス・アーキテクチャでは、より要求の厳しいデジタル負荷に対して要求される分配電流が増加し続けているため、相互接続や電力供給網の損失、複雑さ、およびコストが浮き彫りになります。これらの問題に対処するために、48 Vバス・アーキテクチャが新しい業界標準として浮上しました。米グーグル、米HPなどの主要なデータセンターの設計者やユーザーは、この高い電圧のアーキテクチャを採用する予定です [4]。ただし、48 Vからプロセッサのコア電圧(約1~1.8 V)への大きな変換比は、CPUの近くに配置するための高効率と高電力密度を要求する電圧レギュレータ・モジュール(VRM)の設計において大きな課題になっています [5],[6],[7]。

従来の手法の欠点に効果的に対処するために、図1に示すディクソン型スイッチト・キャパシタ・コンバータ[8]を基にした新しいデュアル・コイルのハイブリッド・コンバータ(DIHC:Dual Inductor Hybrid Converter)が [9]に提案されています。図2に示すDIHCは、出力において交互に配置した2個のコイルを使って、図1に示したハイブリッドのディクソン型コンバータの2個の大きな同期整流スイッチS9とS10を不要にしています。コンバータ設計のこの改良によって、DIHCは、[8]に示されたハイブリッドのディクソン型コンバータと比べて、スイッチとフライング・コンデンサの導通による直流出力インピーダンスの寄与を約1/2に低減しているので、導通損失は半分になります。

加えて、自動的に自己平衡化された電流が得られる交互配置した2個のコイルは、DIHCに電流平衡化の余計な複雑さを伴わずに、大電流アプリケーション用のマルチフェーズ・コンバータと同じ利点を提供します [10]。分相動作は、DIHCでも採用でき、すべてのコンデンサの完全なソフト充電を実現できます [8]。回路動作と定常特性の詳細な解析が報告されています [9]。

6対1のハイブリッドのディクソン型コンバータの概略図
図1:6対1のハイブリッドのディクソン型コンバータの概略図 [8]
6対1のデュアル・コイルのハイブリッド・コンバータの概略図
図2:6対1のデュアル・コイルのハイブリッド・コンバータの概略図 [9]

DIHCの重要な利点は、すべてのフライング・コンデンサが、ハード充電モードなしでコイル電流によってソフト充放電されることです。フライング・コンデンサは完全にソフト充電されているので、DIHCは、スイッチング周波数を高くすることなく、コンデンサのサイズを大幅に小型化できます。これは、スイッチング損失のある従来のスイッチト・キャパシタ・コンバータの中のコンデンサのサイズを小型化するために必須です(トレードオフ)。

加えて、各コイルでは、図2のvx1とvx2などのスイッチ電圧が低下し、3レベル構成やマルチレベル構成と同様に入力電圧Vgの1/6と0との間のスイッチングだけなので、高電力密度に適したサイズにすることができます [11],[12]。最適なサイズの小型コンデンサとコイルを使うと、DIHCは高電力密度の電力変換を実現でき、高出力電力で大電流の用途に非常に適していると言えます。

この新しいコンバータ構成は、20 W、48 VのVRMプロトタイプによって検証されています。主要部品を搭載したプリント回路基板の実装が図3です。この部品の選択と仕様を表1にまとめました。48 V入力、1.6 V / 5 A出力で動作するプロトタイプの主な動作波形が図4と図5です。

図4では、交互配置した2個のコイル電流が自動的にバランスされるので、バランス制御を加える必要はありません。図5は、定常状態で動作するフライング・コンデンサ電圧の波形です。前回の論文 [9] で分析したように、すべてのコンデンサは、従来のスイッチト・キャパシタ・コンバータで発生するハード充電による大きな電圧ジャンプを生じることなく、コイル電流と分相動作によってソフト充電されます。

6対1のデュアル・コイルのハイブリッド・コンバータのプロトタイプ
図3:6対1のデュアル・コイルのハイブリッド・コンバータのプロトタイプ
Circuit component and parameters
表1:回路部品とパラメータ
5 A負荷で48 V入力、1.6 V出力のプロトタイプの動作波形
図4:5 A負荷で48 V入力、1.6 V出力のプロトタイプの動作波形
5 A負荷で48 V入力、1.6 V出力のフライング・コンデンサの電圧波形
図5:5 A負荷で48 V入力、1.6 V出力のフライング・コンデンサの電圧波形

図6は、48 V入力で動作しているときの1 Vから2 Vまでのさまざまな出力電圧のプロトタイプ・コンバータで測定した効率、図7は、1.8 V出力で40 Vから54 Vの入力電圧範囲で測定した効率です。妥当なオン時間とスイッチの有効利用による優れた出力インピーダンス、すべてのコンデンサのソフト充電、および交互配置した部品によって、重要な電力変換部品を上手く選ぶと、このコンバータは、電力密度225 W/立方インチでピーク効率95%以上を得ることができます。軽負荷時の効率が省エネにとって非常に重要であるデータセンターの用途では、このコンバータの効率が、20%負荷まで小さくしても90%以上に維持されていることも利点です。

48 V入力のとき、さまざまな出力電圧で測定した効率
図6:48 V入力のとき、さまざまな出力電圧で測定した効率
1.8 Vの出力のとき、さまざまな入力電圧で測定した効率
図7:1.8 Vの出力のとき、さまざまな入力電圧で測定した効率

表2は、48 Vコアのアプリケーションに対する最先端技術の比較で、DIHCの優れた効率と比較的簡単な構造(少数の能動部品)が際立ちます。このアーキテクチャでは、動作が単純でデューティ比(スイッチのオン時間)が大きいので、より高いスイッチング周波数でコンバータの電力密度を一段と高められる可能性があると期待できます。

 
データセンターのさまざまなソリューションに対するDIHCの比較
表2:データセンターのさまざまなソリューションに対するDIHCの比較

結論

高効率と高電力密度のために交互配置した2個のコイルを使った新しいハイブリッド・コンバータを提案しました。電力変換の構成を単純化した結果、2個のフリーホイール・スイッチを省くことができ、このコンバータは、スイッチやコンデンサの導通時の損失がハイブリッドのディクソン型コンバータと比べて約1/2になり、出力インピーダンスを改善できます。

交互配置したデュアルの出力コイルは、フライング・コンデンサの定常状態の動作によって、自動的にバランスのとれたコイル電流になり、大電流アプリケーション向けのマルフェーズの交互配置アーキテクチャの利点をもたらします。概念実証用の20 Wのプロトタイプによって、コンバータの望ましい動作と特性を検証し、電力密度225 W / 立方インチで95%を超えるピーク効率が得られました。

 

参考文献

[1]  S. Arman, et al., "United States Data Center Energy Usage Report," Lawrence Berkeley National Laboratory, 2016.

[2]  A. Pratt, P. Kumar, and T. V. Aldridge, "Evaluation of 400V DC distribution in telco and data centers to improve energy efficiency," in Proc. IEEE Int. Telecommun. Energy Conf., 2007, pp. 32-39.

[3]  M. H. Ahmed, C. Fei, F. C. Lee, and Q. Li, "48-V Voltage Regulator Module With PCB Winding Matrix Transformer for Future Data Centers," IEEE Transactions on Ind. Electron., vol. 64, no. 12, pp. 9302-9310, 2017.

[4]  C. Wang and P. Jain, "A quantitative comparison and evaluation of 48V DC and 380V DC distribution systems for datacenters," in Telecommunications Energy Conference (INTELEC), 2014 IEEE 36th International, 2014, pp. 1-7.

[5]  Y. Zhang, D. Xu, M. Chen, Y. Han, and Z. Du, "LLC resonant converter for 48 V to 0.9 V VRM," in Proc. IEEE Power Electron. Specialists Conf., 2004, Vol.3, pp. 1848-1854.

[6]  M. Ye, P. Xu, B. Yang, and F. C. Lee, "Investigation of topology candidates for 48 V VRM," in Proc. IEEE Appl. Power Electron. Conf. Expo., 2002, pp. 699-705.

[7]  S. Oliver, "From 48 V direct to Intel VR12. 0: Saving ‘Big Data’ $500,000 per data center, per year," Vicor White Paper (Online), July 2012.

[8]  Y. Lei, R. May, and R. Pilawa-Podgurski, "Split-Phase Control: Achieving Complete Soft-Charging Operation of a Dickson Switched- Capacitor Converter," IEEE Transactions on Power Electron., vol. 31, no. 1, pp. 770-782, 2016.

[9]  G.-S. Seo, R. Das, ad H.-P. Le, “A 95%-efficient 48 V-to-1 V/10 A VRM hybrid converter using interleaved dual inductors,” in Proc. IEEE Applied Power Electronics Conference and Exposition (ECCE), 2018. pp. 3825-3830.

[10]  D. Baba, "Benefits of a multiphase buck converter," Texas Instruments Incorporated, 2012.

[11]  G. S. Seo and H.-P. Le, "An inductor-less hybrid step-down DC-DC converter architecture for future smart power cable," in Proc. IEEE Applied Power Electronics Conference and Exposition (APEC), 2017, pp. 247- 253.

[12]  Y. Lei, et al., "A 2-kW Single-Phase Seven-Level Flying Capacitor Multilevel Inverter With an Active Energy Buffer," IEEE Trans. Power Electron., vol. 32, no. 11, pp. 8570-8581, Nov. 2017.

[13]  J. S. Rentmeister and J. T. Stauth, "A 48V:2V flying capacitor multilevel converter using current-limit control for flying capacitor balance," in IEEE Applied Power Electronics Conference and Exposition (APEC), 2017, pp. 367-372.

[14]  M. Ahmed, C. Fei, F. C. Lee, and Q. Li, "High-efficiency high-power density 48/1V sigma converter voltage regulator module," in 2017 IEEE Applied Power Electronics Conference and Exposition (APEC), 2017, pp. 2207-2212.

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