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最適なGaNゲート・ドライバの選択

最適なGaNゲート・ドライバの選択

11 14, 2023

このブログでは、技術者が自身のプロジェクトに最適なGaNゲート・ドライバを選択するときに考慮すべき重要な要素について説明します。

パワー・エレクトロニクスにおける窒化ガリウム(GaN)の利点

窒化ガリウム(GaN)は、より高いブレークダウン強度、より速いスイッチング速度、より高い熱伝導率、より低いオン抵抗を備えたワイド・バンドギャップ半導体材料です。GaNベースのパワー・デバイスは、シリコン・ベースのデバイスの性能を大幅に上回ります。GaNは、スイッチング特性とサイズの小型化に大幅な改善をもたらすため、多くのアプリケーションで記録的な電力密度と効率を実現でき、エネルギー効率の高い高性能ソリューションの進歩に貢献します。

GaNゲート・ドライバの種類

窒化ガリウムFETベースの電力変換システムは、シリコン・ベースの同等品と比べて、効率が高く、電力密度が向上し、システム全体のコストが低くなります。これらの有利な特性によって、特にeGaN® FETの性能を向上させるために設計されたゲート・ドライバ、コントローラ、受動部品などのパワー・エレクトロニクス部品のエコシステムが拡大し続けています。

ローサイド・ゲート・ドライバ

ローサイド・ドライバは、グラウンド基準のスイッチを駆動するために使われます。

ハーフブリッジ・ゲート・ドライバ

ハーフブリッジ・ドライバは、フローティングとグラウンド基準の両方のスイッチでブリッジ構成されて接続された2個のスイッチを駆動するために使われます。

ここにある表は、eGaN FETでの使用に適したローサイドおよびハーフブリッジのドライバの例をいくつか示しています。

ハイサイド・スイッチの駆動

駆動回路を備えた単純なブリッジ構成の構造では、上側スイッチのソース端子は、グラウンドからDCバス電位までの任意の場所でフローティングにすることができます。したがって、ハイサイド・スイッチを駆動するには以下の2つのことが必要です:

  1. フローティング電源:このフローティングの中点の電位に関連する回路に電力を供給します。
  2. レベルシフト回路:PWM(パルス幅変調)制御信号をフローティング・ドライバ回路に伝送します。

GaNゲート・ドライバを選択するときの重要な考慮事項

ゲート・ドライバICは、eGaN FETのスイッチング速度能力を最大化する上で重要な役割を果たします。eGaN FETとの互換性を確保するためには、ゲート・ドライバは、5 V駆動に適したUVLO(低電圧ロックアウト)、低いプルアップおよびプルダウン抵抗、小さな実装面積、高いdv/dtに耐える適切なコモン・モード過渡耐性(CMTI:common-mode transient immunity)のある絶縁といった機能を備えている必要があります。一部のeGaN互換ドライバのその他の有益な機能には、電圧レギュレータやブートストラップ管理の搭載、非常に狭いパルス幅を扱える能力などがあります。

GaNゲート・ドライバの要件

高周波および高性能のアプリケーションの要求を満たすために、GaN FETのゲート・ドライバは、次の要素を考慮して、最適な性能を得る必要があります:

  1. ハイサイドのブートストラップ電圧の「クランプ」:ブートストラップ電源駆動のハーフブリッジ・ドライバのローサイドFETの逆導通電流(逆導通電圧は、最大2.5 Vに達し、ブートストラップ・コンデンサを7 V以上に充電する可能性があります)を管理します。
  2. 低電圧ロックアウト(UVLO)を確認する必要があり、ディセーブルの場合は3.6 V、イネーブルの場合は4.0 Vの範囲にあることを推奨します。
  3. GaNデバイスは、非常に高速にスイッチングできるため、ゲート・ドライバは、高いdv/dtに耐えなければなりません;100 V/nsを超える能力を推奨します。
  4. デッドタイム損失を低減するには、最小デッドタイムを最小化しなければなりません。理想的には20~40 nsの範囲内です。
  5. 下側FETと並列に小型で低コストのショットキー・ダイオードが必要になる場合があります。
  6. 個別のRon/Roffピン
  7. 過熱制限保護

これらの要件を考慮すると、次の変更を実施して、GaN FETを備えた汎用MOSFETゲート・ドライバICを使うことも可能です。

GaN FETにMOSFETゲート・ドライバを使う方法

GaN FETを備えたコントローラICを使う場合の重要な考慮事項

設計者が、MOSFETベースのゲート・ドライバを集積したコントローラICを使いたい場合があります。特定の基準が満たされれば、これらのドライバをGaN FETで動作するように適合させることは可能です。このときの重要な考慮事項は、ブートストラップ・ダイオードが外付けで、UVLOの設定がGaN FETの要件と一致していなければならないことです。MOSFETベースのハーフブリッジ・ゲート・ドライバを変更する場合、ブートストラップ・コンデンサの両端に5.2 Vのツェナー・クランプ・ダイオード、ブートストラップ・ダイオードと直列の電流制限抵抗、および必要に応じて、下側FETの両端に逆並列ダイオードを追加することを推奨します。これらの対策を組み合わせることで、ブートストラップの過電圧を効果的に制限できます。

Key Considerations When Using Controller ICs with GaN FETs

これまでは、ブートストラップ電源向けに、ゲート・ドライバの内蔵ダイオード、または外部のダイオードに依存していました。ゲート・ドライバの内蔵ダイオードは、プロセスの制限によって逆回復を示し、その結果、バック(降圧型)・コンバータの上側FETで潜在的な損失が発生します。これに対処するためには、ブートストラップ・ダイオードをGaN FETに置き換えて、同期整流用FETのブートストラップ電源を構成します。GaN FETの導入によって、ブートストラップ・ダイオードの機能が置き換えられ、両方向に電流を流すことができるため、ブートストラップ・コンデンサがさらに安定化できます。同期整流用ブートストラップFET回路は、より高い周波数で最適に動作するため、逆回復によって引き起こされるスイッチ・ノードの電圧遷移歪みを除去するために使えます。

Synchronous bootstrap FET circuit

同期整流用ブートストラップ電源をゲート・ドライバに改造する手順は次のとおりです:

  1. まず、同期整流用ブートストラップFETを組み込み、ソースを5 V電源に、ドレインをブートストラップ・コンデンサ回路に接続します。
  2. コンデンサCenhとダイオードDenhを使って、下側FETのゲート信号の電圧シフトを設定し、下側FETのゲートがローに保持されるたびに、このコンデンサを充電します。
  3. ゲート・ドライバへの主電源電圧をわずかに減らして、内蔵ダイオードに永続的な順バイアスがかかることを防ぎます。この目的のためにダイオードD4V7を使います。
  4. Ron、Rbleed、Doffで構成されるオフおよびオンのタイミング回路を追加します。
  5. 最後に、Rdampを使ってドレイン回路のインダクタンスのダンピングを導入します。
Steps to retrofit a synchronous GaN bootstrap power supply

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