太陽エネルギーの最適化:GaN FETと専用ASICコントローラを使った小型で高性能なPVオプティマイザの設計
GaNの話 – Parinda Chantarasereekul
12 13, 2024
はじめに
太陽光発電(PV)システムに対する世界的な需要が高まるにつれて、メーカーは、信頼性を損なうことなくコストを低減しなければならないというプレッシャに直面しています。特に商業用や住宅用のPVシステムでは、これらの目標を達成するために革新的な技術が不可欠です。これらのシステムは通常、マイクロインバータとストリング・インバータの2つの主な構成に分類されます。
各パネルにインバータを使うマイクロインバータは、各パネルが最大エネルギー・ポテンシャル(位置エネルギー)で動作できるようにします。ただし、各モジュールにACコンバータが必要なため、コストが高額になる可能性があります。一方、ストリング・インバータは、複数のパネルを中央インバータに接続します。ストリング・インバータは費用対効果に優れていますが、日陰やその他の要因が個々のパネルに影響を与えると、エネルギー収集能力が低下します。
このギャップを埋めるために、マイクロインバータのエネルギー収集機能に匹敵する費用対効果の高いソリューションとしてオプティマイザが登場しました。これらのパワー・モジュールは、既存のストリング・インバータとの互換性を維持しながら、各パネルのエネルギー収集を最適化します。このブログでは、オプティマイザの役割、その設計におけるGaN FETの利点、およびリファレンス・デザインEPC9178などのソリューションの可能性について説明します。
ストリング・インバータのエネルギー収集の課題
一般的なストリング・インバータのシステムは、複数のPVパネルの直流出力を直列に接続し、収集した電流を中央インバータに供給します。この設定によって、直流電圧エネルギーが交流電流に変換され、グリッド(送電網)に供給されます。ただし、日陰や不均一な太陽光照射によって、全体的なエネルギー収集効率が大幅に低下する可能性があります。
図1に示すように、個々のパネルの電圧、電流、電力の各特性を調べると、課題が明らかになります。日陰の変化によって、電流出力が減少し、パネル間の電力寄与の不一致が生じます。この不一致は、大幅なエネルギー損失につながるため、システム・レベルのエネルギー収集を強化するための最適化の必要性が浮き彫りになります。
図1:ストリング・インバータ・ベースの太陽光発電システムの概要図。挿入した上部のグラフには、日陰が各パネルの出力特性に与える影響が示され、挿入した下部のグラフには、利用可能な全電力への影響が示されています。
オプティマイザの概要
オプティマイザは、PVパネルと、中央ストリング・インバータへの直列ストリング接続の間に設置される直流パワー・コンバータです。主な機能は次のとおりです:
- 最大電力点追従制御(MPPT:Maximum Power Point Tracking):取り付けられたパネルがピーク・エネルギー出力で動作することを確実にします。
- 一定電力供給:インバータの電流需要に合わせて出力電圧を調整することで、最大電力供給を維持します。
オプティマイザの最も一般的な回路構成は、バック・ツー・バックのバック・ブースト(降圧・昇圧)・コンバータです(図2)。この構成は、昇圧、降圧、または入力に近い電圧レベルの維持など、必要な電圧変換に関係なく、高い効率を発揮します。
図2:オプティマイザに適したPVパネルから供給されるバック・ツー・バックのバック・ブースト・コンバータの電源回路図。
オプティマイザは、ストリング・インバータのMPPTアルゴリズムに合わせて、パネルの電圧と電流を動的に調整します。次の3つのモードで動作します:
- 定電力モード:出力の電圧または電流の制約がない場合のオプティマイザの通常の動作モードで、最大電力出力が得られます。.
- 定電流モード:ストリング・インバータが最大電流を引き出すときにアクティブになります。
- 定電圧モード:インバータが最小電流を引き出すときに動作します。
この相互作用によって、ストリング・インバータの動作上の制約を遵守しながら、最適なエネルギー収集が保証されます。
図3:さまざまなパネル日射レベルに対するオプティマイザの出力特性。
デモ・ボードEPC9178:ケース・スタディ
EPC9178は、PVオプティマイザ向けに特別に設計した汎用のバック・ツー・バックのバック・ブースト・コンバータです。30 V~60 Vの入力電圧範囲内で動作し、30 V、45 V、60 Vの出力電圧設定を選択できます。主な機能は次のとおりです:
- 小型な設計:EPC9178の高周波動作(450 kHz)によって、コイルやコンデンサなどの受動部品のサイズを小型にでき、軽量で小型な形状が実現できます。
- 高効率:ピーク効率98%のEPC9178は、太陽光発電用途で業界をリードする特性を発揮します。
- 高度なGaN技術:EPC9178は、オン抵抗が3.8 mΩと非常に低い100 V定格のEPC2306(eGaN FET)を搭載しており、シリコンMOSFETに比べて、熱管理が改善され、低電力損失動作が可能になります。
- 簡素化された制御:米テキサス・インスツルメンツのコントローラLM5177を組み込むことで、ゲート・ドライバと制御論理回路が統合され、設計が合理化され、部品点数が削減されます。
特性の結果
EPC9178を、一般的なPVパネル電圧範囲にわたって実験的に評価しました。30 V、45 V、60 Vの入力と30 Vの固定出力を、EPC9178の効率と電力損失を実証するために選択しました。図3に示すように、コンバータはピーク効率98%を達成しました。ただし、60 V入力では、熱と電流の制限に遭遇しました。
図4:さまざまな入力電圧で、負荷電流に応じて負荷に30 Vを供給し、基板EPC9178の全体的な効率と電力損失を示します。
PVオプティマイザにおけるGaN FETの役割
窒化ガリウム(GaN)のFETは、次のような利点を提供し、パワー・エレクトロニクスに革命をもたらしています:
- 導通損失の低減:オン抵抗が低いため。
- スイッチング損失の低減:出力容量が小さいために実現。
- 熱管理:消費電力の低減によって簡素化。
- コストの削減:より高い周波数で動作することで、磁気部品のサイズとコストを削減できます。
これらの特性によって、GaN FETは、PVオプティマイザなどのハードスイッチング用途に理想的な選択肢となります。EPC9178などの設計に、GaN FETを統合することで、システムのサイズとコストを削減すると同時に、より高い性能を実現できる可能性が実証されます。
結論
EPC9178は、eGaN® FETと専用のASICコントローラを活用することで、優れた効率、小型さ、信頼性を実現します。業界が、より費用対効果が高く、高効率な再生可能エネルギーのソリューションへと移行する中、これらの特性はPVシステムにとって極めて重要です。
再生可能エネルギー分野が進化するにつれて、GaN技術はイノベーションの最前線に立ち続け、より明るく環境に優しい未来のために、性能、信頼性、手頃な価格のバランスが取れたソリューションを提供します。
EPC9178の設計ファイルを含む詳細については、https://epc-co.com/epc/jp/製品/評価基板/epc9178.
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