高電圧バッテリー用途のGaNベースのモーター駆動向けに、広い入力電圧範囲とプリント回路基板の最適化したレイアウトを設計する方法
GaNの話 – Federico Unnia
8 09, 2025
概要
30 V~140 Vの広い入力範囲を備えたモーター駆動用インバータのリファレンス・デザインは、80 V、110 Vなどのバッテリー・システムに適しています。用途の例には、産業自動化システム、農業機械、フォークリフトなどの資材搬送機器などがあります。このブログでは、使用するGaN FETの性能を最適化するために開発したプリント回路基板のレイアウトに重点を置いて、これらのシステム向けの既製のリファレンス・デザインの設計について説明します。
150 V定格のモーター駆動用リファレンス・デザイン
EPC91200は、30 V~140 VのDCバス電圧に対応する150 V定格の完全に構成したモーター駆動用インバータ基板です。この設計には、オン抵抗が標準2.2 mΩの150 V定格GaN FETであるEPC2305を搭載しています。このリファレンス・デザイン基板は、80 V~110 Vのバッテリーを使う幅広いアプリケーションで直接使えるように設計しています。基板の回路ブロック図が図1です。
図1:EPC91200の回路ブロック図
EPC2305は、EPCのすべてのQFN封止のディスクリートFETとピン互換性があるため、それぞれ定格100 Vと200 VのEPC2302とEPC2304、または、オン抵抗RDS(on)を低減したそれぞれ定格100 V、150 V、200 VのEPC2306、EPC2308、EPC2307、EPC2307も組み立てることができます。異なる定格電圧のFETを使った場合は、DCバスと位相電圧を測定する電圧分割器のみを変更して、測定範囲を最適化する必要があります。
設計の特徴
図2は、EPC91200の表面と裏面の主な特徴を示しています。
図2:EPC91200の基板の表面と裏面
相電流は、ACS37003ファミリーの電流検出ICを介して測定されます。このような部品の内部抵抗が低い(265 µΩ)ため、基板の発熱が減り、インバータの損失が最小限に抑えられます。現在、このファミリーには、EPCのモーター駆動用基板を制御するマイクロコントローラの供給電圧でもある3.3 V電源と互換性のあるデバイスが1つだけ含まれています。ただし、EPC91200には、5 V程度の信号を3.3 V程度に変換する調整回路が基板上にあるため、同じファミリーの5 V電源の電流検出ICと一緒に組み立てることができます。
完全な双方向過電流保護回路は、3相電流のいずれかからトリガーされ、不要な故障を防止します。正負の過電流しきい値は抵抗器によって調整可能で、過電流信号の時定数はゲート・ドライバの遮断信号に接続されたRCフィルタによって設定されます。
5 V電源は、米Power IntegrationsのLNK306を使った回路によって生成され、30 V~150 Vの直流電圧範囲に対応します。直流リンク・コンデンサは耐圧100 Vのセラミック・コンデンサで、150 Vの耐圧を実現するために積層されています。現在、定格100 Vの積層コンデンサを2個使うと、面積当たりの等価静電容量の観点から、定格200 Vのコンデンサを使うよりも優れたトレードオフが得られます。
EPC91200は、スイスのSTマイクロエレクトロニクス、米テキサス・インスツルメンツ、米マイクロチップ・テクノロジー、ルネサスなど、さまざまなメーカーのマイクロコントローラ基板とインタフェースするEPCのすべてのコントローラ・カードと互換性があります。これらのコントローラすべてに対応するフィールド・オリエンテッド制御(FOC)ファームウエアを用意しており、基板上のコネクタJ80を介してホールセンサまたは直交エンコーダとインタフェースできます。
プリント回路基板レイアウトのアプローチ
EPC91200のプリント回路基板のレイアウトは、入力直流コネクタと位相コネクタの間の直流抵抗に重点を置いて最適化されています。モーター駆動用途では、オン抵抗とプリント回路基板の抵抗が全体的な損失に大きく影響するためです。
インバータとモーターを接続する独ウルトのRedcubeプレスフィット位相コネクタは、優れた抵抗接触を実現します。コネクタのオス型は、ボルトとワッシャだけで基板をモーターのケーブルに接続できるため、基板をすぐに使える状態になります。
さらに、図3に示す基板の積層は、より厚い銅層を最上層のすぐ下に配置できるように最適化されています:最初の2層は4オンス(140 µm)の厚さで、直流電流と熱の大部分を拡散させることができます。中央の2層は、アナログ信号とデジタル信号の大部分を配線するために使われています。残りの層は、対称性を維持するために最初の3層と対称的に配置されています。
加えて、プリント回路基板エディタに統合された有限要素解析ツールを使って、電流密度分布と直流トレース抵抗の両方を解析し、GaN FETの下に厚い銅層を使った場合の効果を検証しました。
図3:EPC91200の積層
DC-DCといったGaNのアプリケーションでは、スイッチング・ノードの高速遷移のため、GaN FETと同じ側に高周波ループ・デカップリング・コンデンサを配置し、反対側にも中程度の周波数のコンデンサを追加する必要がありますが、モーター駆動用インバータは遷移が遅いため、デカップリング・コンデンサの数を減らし、プリント回路基板の反対側に再配置することができます。この調整によって、FET側の銅プレーンに余裕が生まれ、FETから発生する熱を分散させ、銅抵抗を最小化することができます。
結論
結論として、モーター駆動用インバータのリファレンス・デザインEPC91200は、80 Vや110 Vといった電圧のバッテリー・システムを利用するアプリケーションを含む幅広いアプリケーションに対応する汎用性の高いソリューションを提供します。この基板は汎用のモーター駆動用インバータであり、フィールド・オリエンテッド制御(FOC)技術と組み合わせて使うことも、センサーとインタフェースすることもできます。各レッグに双方向過電流保護機能を備えており、しきい値を調整することもできます。プリント回路基板のレイアウトの最適化によって、プリント回路基板の直流抵抗による抵抗損失を最小化することができ、これはプリント回路基板のCADに統合された有限要素解析ツールを使って検証済みです。
EPC91200は、GaN FET技術とプリント回路基板設計の考察のメリットを活用することで、多様なモーター駆動用途において効率、信頼性、適応性を実現します。広い入力電圧範囲とレイアウトの最適化によって、EPC91200は、高性能モーター駆動システムを設計する技術者にとって、すぐに入手可能なソリューションを提供します。
詳細について:
- Visit the EPC91200のランディング・ページに行って、設計ファイルにアクセスし、今すぐモーター駆動イノベーションを始めましょう。
- 2. GaN FET技術があなたの設計を次のレベルに引き上げる方法について、GaNのエキスパートに問い合わせてください。