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AI電源向けの低コスト、薄型で6 kW、800 V入力、12.5 V出力のDC-DC

AI電源向けの低コスト、薄型で6 kW、800 V入力、12.5 V出力のDC-DC

1 15, 2026

Michael A. de RooijとAlejandro .P. Pozo

この記事は元々、EEPower誌に掲載されました。

人工知能(AI)が今、流行っています:その影響力は今後も拡大する一方です。今日、真の課題は、最適な効率レベルでエネルギー需要を満たすことにあります。米NVIDIA(エヌビディア)は最近、800 VのDCアーキテクチャとエネルギー蓄積ソリューションを組み合わせることで、現代および将来のAIサーバー・インフラのニーズを満たす代替アプローチを示すホワイト・ペーパー1を発表しました。これらのシステムでは、キロワット規模だけでなく、メガワット規模の電力供給が必要になります。これを可能にする技術がGaNです。EPCはNVIDIAと共同で、最大6 kWを供給できる費用対効果が高く薄型の直流800 Vから直流12.5 Vへのコンバータ2を開発しました。この設計は、EPCの最新の150 Vおよび40 VのGaNデバイス3,4を活用しており、面積5000 mm2で、全体の厚さがわずか8 mmに収めています。この設計は、GaN FETがコストを低く抑えながら高効率と高電力密度の両方を実現できることを示す好例であり、全負荷時に97%の効率を達成することを目指しています。

サーバーの電気インフラ

現在の人工知能システムは、GPUとCPUを収容する同じラック内で、交流電源網からコア電圧までの4段階の電力変換に依存しています。最初の2段階は、交流を直流400 Vに変換し、さらに直流400 Vを直流54 Vに変換し、通常は専用の電源棚に設置されたバッテリー・バックアップ・システムと並んで電源ユニットに統合されています。直流54 Vのレールはラックに沿ってプロセッサ領域に分配され、最後の2段階で直流54 Vから直流の6 Vまたは12 Vに降圧され、最終的に6 Vまたは12 Vからコア電圧に降圧されます(図1)。

一般的なキロワットのサーバー・ラックのアーキテクチャ
図1:一般的なキロワットのサーバー・ラックのアーキテクチャ2

今日のGPUラックは、通常のウエブ・サーバーの最大100倍の電力を消費します1。この指数関数的な増加によって、プロセッサの熱設計電力は75%増加し、コンピューティング性能は50%向上しました。NVIDIAのホワイト・ペーパー1では、複数のGPUを単一のコンピューティング・ユニットとして連携させるNVLink技術が、この性能向上の大きな理由であると記載されています。NVLinkの登場によって、ラックの全電力は1 MWに近づいています。この電力需要を満たすために、ラック内のスペースが貴重になっているため、電源に割り当てられる割合を適切に調整しなければなりません。ここで際立っているのが、この電源段の面積と厚さをGPUラックの範囲内に収まるように小型化できる直流800 Vから直流12.5 Vへの直接変換アーキテクチャです。

800 Vのアーキテクチャ

データセンターの電力需要が高まっているので、次世代の電力分配において、直流800 Vが最も効果的なアーキテクチャとして浮上しており、従来の交流415/480 Vまたは直流54 Vのアプローチに比べて明確な利点があります。より高い電圧で動作させることで、同じケーブル断面積で大幅に効率的な電力伝送が可能になり、施設全体の電流、銅線要件、ケーブル量を削減できます。直流800 Vから直流12.5 Vへのアーキテクチャは、電力経路全体の効率化も実現します。電力網とGPUレベルの間の変換段が少なくなるため、ケーブル、コネクタ、部品が削減され、貴重なラック・スペースが解放され、システムの複雑さが軽減されます。タッチセーフ・コネクタと機械的インターロックの利用によって、安全性も向上します ーー これらの技術は、EV(電気自動車)充電エコシステムですでに実証されています。ワイド・バンドギャップのパワー・デバイスの成熟度向上と、電動モビリティにおける直流800 Vの普及が、この移行の追い風になっています。これらの要素を組み合わせることで、1 MWをはるかに超える電力要件1に対応できるクリーンで高効率、かつスケーラブルなエンド・ツー・エンドの電力分配モデルを実現できます。

GaNベースのLLCコンバータを使って直流800 Vから直流12.5 Vに直接変換することで、システムの効率も向上し、実装面積が約26%削減されます1。このアーキテクチャは、直流800 VをAIラックに直接供給し、CPUとGPUに電力を供給する負荷点PoL(point-of-load)コンバータ向けに直流12.5 Vに変換します。変換段を負荷の近くに配置することでバス損失が削減され、今日のキロワット規模のシステムで一般的に使われている54 Vから12 Vへの変換段が不要になります。この変更によって、ラック上に高密度コンピューティング・モジュールを配置するためのスペースも確保されます(図2)。

新しいメガワット規模の電力分配システム
図2:新しいメガワット規模の電力分配システム2

シングルエンドの直流800 V構成を採用する理由は、保護デバイスが利用可能か、データセンター・レベルでの電力分配が容易か、といった実用的な理由に基づいています。この回路構成は、標準的な2極スイッチ・ギア設計と連携し、負荷分散の問題がなく、導入を迅速化します。直流800 Vの電力供給への移行は、まったく新しいものではなく、通信、産業、自動車の各システムにおける改善を基盤としています。

GaN技術

GaN(窒化ガリウム)技術は、直流800 Vのアーキテクチャを可能にする重要な要素です。従来のシリコン・デバイスと比べて、GaN半導体は、スイッチング速度が速く、導通時の消費電力が少なく、高温でも優れた動作特性を示します。この組み合わせは、直流800 Vシステムに求められる高い電力密度と効率を実現するために非常に重要です。

GaNデバイスは、より高いスイッチング周波数で動作するため、プリント回路基板の設計の最適化が容易になり、コイルやトランスなどの受動部品の小型化も可能になります。これは省スペース化に重要であり、GPU周辺ではますます重要になっています。

ISPOソリューション

EPCは、入力直列、出力並列(ISOP:input-series, output-parallel)のLLC構成を使って、人工知能インフラで直流800 Vの電力分配をサポートする6 kWで、直流800 Vから直流12.5 Vへの高効率コンバータを設計しました2

ISOP構成は、入力電圧と出力電流を8つのブロックに分割するモジュラ方式を採用しています。各モジュールは、入力電圧の1/8のみを受け、出力電流の1/8のみを供給します。この結果、直流800 Vから直流12.5 Vへのコンバータ(変換比64対1)の当初の仕様は、直流100 Vから直流12.5 Vへのコンバータ(変換比8対1)へと大幅に軽減され、モジュール当たりの公称出力電力は750 Wとなります。

各モジュールは、GaN FETベースのハーフブリッジ・パワー段で構成されており、4対1対1の巻数比を備えたトランスの1次側に電力を供給します。このトランスは、センタータップ付きの2次側にGaN FET同期整流器を備えています。このトランスは、平面プリント回路基板構造で形成できるため便利です。センタータップ付きの2次側には、フルブリッジ整流器を使う場合と比べて、整流器の大電流経路に必要なデバイスが2個直列ではなく、1個だけで済むという利点もあります。図3は、ISOPコンバータの回路ブロック図と、直流100 Vから直流12.5 VへのLLCモジュールの回路構成を示しています。

LLC構成

ハーフブリッジLLCコンバータは、必要なアクティブFETとゲート・ドライバの数を最小限に抑え、コストを低く抑えられます。トランスの巻数比も半分に低減されるため、安全のための絶縁を内蔵する必要があることを考慮すると、設計が簡素化されます。一方、トランスの1次側の実効値電流は2倍になるため、EPC2305のような低オン抵抗の部品が必要になります。同様に、2次側にセンタータップの整流器構成を採用することで、アクティブ整流器とドライバの数を削減し、低コストのソリューションに貢献します。

12.5 Vの出力値は、モジュール全体の変換比によって実現できます。各モジュールは、入力で約100 Vを受け、ハーフブリッジを介して入力の約半分の電圧(50 V)をトランスの1次側に印加します。トランスの巻数比が4対1の場合、2次側の電圧は約12.5 Vになります。最終的に、並列接続したすべてのモジュールの出力は、負荷に共通の12.5 Vの大電流バスを提供します。

LLCは、スイッチング周波数が共振タンクの共振周波数付近で動作するように設計されており、この周波数におけるタンクの利得は1になります。つまり、共振周波数では、タンクの出力電圧は、入力電圧とほぼ等しくなり、損失は最小化され、効率は最大化されます。LrをLmよりもはるかに小さく設計することで(Lr << Lm)、タンクの利得は広範囲にわたって動作周波数に依存しなくなり、電圧変換が安定します。これによって、並列出力から各1次側に同じ電圧が供給され、直流800 V入力がすべてのモジュールに均等に分割されます5

低電圧GaNデバイスは、1次側に使え、1200 VのSiCまたは650 VのGaN FET6よりもはるかに優れた性能指数を備えています。

さらに、ISOP構成の8個のLLCモジュールのスイッチング・サイクルをインタリーブすることで、入出力電圧リップルを低減し、バス容量要件を軽減できます。

EPCが採用したこのソリューションでは、各モジュールを1 MHzのスイッチング周波数で動作させることで、厚さ5.8 mmの超小型・薄型コアを利用できます。この厚さは、ソリューション全体の厚さを8 mm以内に収めるために非常に重要です。この結果、プロセッサの冷却システムに干渉することなく冷却できます。

EPC23053は、オン抵抗RDS(on)の標準値が2.2 mΩ、ゲート電荷QGが22 nCなので、1次側に最適な選択肢です。出力電荷QOSSは、わずか103 nCで、QRR=0(GaN特有の逆回復電荷なし)なので、ソフトスイッチングの性能指数7は、275 mΩ·nCとなります。露出基板オプション付きの面積3×5 mmのQFNパッケージは、接合部からパッケージまでの熱抵抗が0.2°C/Wです。

2次側では、2個のEPC23664を並列に接続し、組み合わせたRDS(on)は0.4 mΩ、ゲート電荷QGは26 nC、QOSSは40 nCになります。各デバイスは、基板が露出した面積2.6×3.3 mmのQFNパッケージに収められており、熱抵抗は0.6°C/Wです。

直流800 Vから直流12.5 VへのISOPコンバータ
図3:直流800 Vから直流12.5 VへのISOPコンバータと低電圧モジュールの詳細2
6 kWで、直流800 V入力、直流12.5 V出力のデモ・ボードEPC91123の写真
図4:EPC91123の写真:6 kWで、直流800 V入力、直流12.5 V出力のデモ・ボード2

結論

EPCの6 kWで、直流800 V入力、直流12.5 V出力のISOPコンバータは、GaN技術を使って高効率と高電力密度を両立した最新のAIサーバー・インフラを構築する方法を示しています(図4)。モジュール型LLC設計は、低損失、高効率、小型な実装面積を実現します。EPCの成熟したGaN技術を活用することで、このシステムは、メガワット規模の電力密度をサポートすると同時に、ピーク効率98%弱、全負荷効率97%が得られています。このアプローチは、AI電力供給の将来を示す例であり、新たに出てきたデータセンターの需要と実用的でスケーラブルな電気設計との間のギャップを埋めるものです。

参考文献

  1. White Paper, 800 VDC Architecture for Next-Generation AI Infrastructure - Jared Huntington & Mike Tu, Nvidia
  2. White Paper, Low Cost and Low Profile 800 VDC to 12.5 V DC-DC Converter Using Low Voltage GaN in an ISOP Topology - Dr. Alejandro Pozo and Stephen Colino, Efficient Power Conversion (EPC)
  3. EPC2305 Data Sheet
  4. EPC2366 Data Sheet
  5. Q. Ma, Q. Huang and A. Q. Huang, "Zero-Voltage Switching and Natural Voltage Balancing of a 3 kW 1 MHz Input-Series-Output-Parallel GaN LLC Converter," in IEEE Open Journal of Power Electronics, vol. 5, pp.
    1119-1128, 2024, doi: 10.1109/OJPEL.2024.3433562.
  6. A. Pozo and M. A. de Rooij, "5.5 kW Isolated 400 V to 50 V DC-DC Converter for Server Power Supplies," PCIM Conference 2025; International Exhibition and Conference for Power Electronics, Intelligent Motion, Renewable Energy and Energy Management, Nürnberg, Germany, 2025, pp. 637-645.
  7. A. Lidow, M. de Rooij, J. Glaser, A. Pozo, S. Zhang, M. Palma, D. Reusch, and J. Strydom, “GaN Transistors for Efficient Power Conversion”, 4th ed. John Wiley & Sons, 2025. ISBN: 978-1394286959

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